私の近所の家に、小学校低学年の男の子がいます。
その彼と私とは、毎朝、家を出る時刻がほぼ同じです。
ところが、彼は学校に行くのがとても辛そうで、
家を出る際に、めそめそと泣いていることが度々あります。
今朝も、路地まで見送りに出たお母さんを、何度も何度も振り向きながら、
ためらうようにして集団登校の集合場所まで向かって行きました。
彼を見送るお母さんも心配そうな表情で、見ている私も少し悲しくなります。
そんなに学校に行くのが辛いのかなか‥?
ひょっとして、学校で誰かにいじめられているのかな‥?
「オジサンも、仕事に行くのがしんどい時が度々あるんだよ。」と、
その彼に声を掛けたい気持ちになります。
きっと、彼は、子どもの頃の私と同じく甘えん坊で、
家を出るときは、優しいお母さんと別れるのが辛いけれど、
学校に行けば、きっと友達と仲良く遊んでいるのではないか、と思ったりもしました。
そんなことを考えていると、
『読売新聞朝刊一面コラム 竹内政明の「編集手帳」傑作選』(中公新書ラクレ)にあった、
「いじめ」と題するコラムの、次のようなフレーズを思い出しました。
『谷川俊太郎さんに「成人の日に」と題された詩がある。
〈成人とは人に成ること もしそうなら/私たちはみな日々成人の日を生きている〉
中学生や高校生も毎日が成人の日だろう。大人になるための条件を挙げて、詩は続く。
〈他人のうちに自分と同じ美しさをみとめ/自分のうちに他人と同じ醜さをみとめ‥‥〉
と、その一節にある。 ~ (中略) ~
ひとの心を傷つけて喜ぶ心さびしき者に聞く耳はなかろうから、 中傷された君に言う。
蠅(はえ)たちの集まりでは、 蝶(ちょう)も「キモイ」と陰口をたたかれるだろう。
心ない者たちのうちにも自分と同じ美しさを探しつつ、君はひとり、 大人になればいい。』
決してないとは思うけれど、もし、学校でいじめに遭っているとしたら、
この言葉のように、「君もひとり、大人になればいい。」‥‥。オジサンはそう思っています。

読売新聞朝刊一面コラム - 竹内政明の「編集手帳」傑作選 (中公新書ラクレ)
- 作者: 竹内政明
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