コラムによると、32回目の今回は、5万7千首超の応募があったそうですが、
そのコラムで紹介された次の二句を読んで、亡き母のことを思い出し、目頭が熱くなりました。
『長く過ごした巣を離れる時も、やがて訪れる。
〈「地元出る。」決意を伝えたその時の涙溢(あふ)れた母の表情〉高3佐藤優花(ゆか)。
いつでも母は見守っている。早くも親元を離れ、詠まれた歌であろう。
〈ありがとうLINEではなく電話する母から届いた荷物眺めて〉高1大田洋輔。』
この二句を読んで、初めて親元を離れ、京都で大学受験の浪人生活を送っていた頃、
母が数か月に一度、小さい小包を予備校の寮に送ってくれたことを思い出しました。
箱の中を開けると、衣服や缶詰、お菓子などとともに、短い手紙が添えられていました。
どんなことが書いてあったのか、もうすっかり忘れてしまったけれど、
荷物が届き、母の手紙を読むたびに涙したことは、今でもはっきりと覚えています。
いろいろと母には苦労を掛けたので、親孝行して恩返しをしたかったけれど、
本人はもうこの世にはいない、それがとても残念です‥‥。
私も、格言の「孝行のしたい時分に親はなし」が、ようやく理解できる年齢になりました。