しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

大学で学ぶ価値

社会学者の上野千鶴子さんが、

今年の東京大学入学式で読まれた祝辞がネット上で話題になっていたので、

私も東京大学の公式HPでその祝辞の全文を読んでみることにしました。

読んでみると、とても立派なことを述べられていたので、

祝辞の最後の箇所を、次のとおりこの日記に書き残しておきたいと思います。


『あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、

 予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。

 これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。

 学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、

 異文化が摩擦するところに生まれるからです。学内にとどまる必要はありません。

 東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動を

 サポートする仕組みもあります。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。

 異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。

 あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、

 たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。

 大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、

 これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、

 わたしは確信しています。知を生み出す知を、メタ知識といいます。

 そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。』


う~む、なるほど‥‥。

大学で学ぶ価値とは、「すでにある知を身につけることではなく、

これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けること」ですか‥‥。

私もこのことが大学時代に分かっていれば、もっと真剣に勉学に取り組んでいたかもしれません。


自身の大学入学時を振り返ると、知識詰込みだけの受験勉強からようやく解放されて、

学問に対する向学心よりも、脱力感や虚脱感が漂っていたように思います。

そして、社会人となって様々な出来事を体験をし、年齢を重ねるうちに、

ようやく「大学で学ぶ価値」が、ほんの少しでも理解できるようになった気がします。


ところで、東京大学入学式といえば、小宮山宏・元総長が式辞で、

「本質を捉える知」、「他者を感じる力」、「先頭に立つ勇気」と述べられたことが、

平成17年当時、話題になったことを今でも覚えています。

「困難な課題は知によってのみ解決可能で、知によってのみ人類の未来は開け、

知を行動につなげる勇気は、自分は本質をつかんでいるという確信があってこそ生まれる。」


東大生に限らず、この四月に大学生になられた皆さんが、

「知の拠点である大学」で、有意義な日々を過ごされることを切にお祈りしています‥‥。