今日の朝日新聞デジタル版「耕論」は、『天安門30年後の現実』というタイトルで、
「1989年6月4日から30年。中国で「六四」と呼ばれる天安門事件は今も大きなタブーだ。
もう民主化の希望は消えたのか。豊かになった中国の人々は「天安門」を忘れたのだろうか。」
という問い掛けに、3人の有識者の方がインタビューに答えていました。
そのなかでは、天安門事件当時の学生運動指導者であった王丹さんが、次のようなことを述べられていました。
『経済発展が中国の民主化をもたらすという期待が西側にはありましたが、
それは中国を理解していない議論です。1980年代に民主化した韓国などと違い、
中国は真の市場経済からほど遠いのが実情です。
もちろん市場経済の素地はあるし、現在の雇用の大半は民間部門です。
しかし国家の命脈を握る重要産業であるエネルギー、鉄道、電信、銀行などを
政権はいっさい手放していない。これでは民主化の前提条件になりません。
米中貿易戦争は、我々にとって役立つ面があります。
世界貿易機関(WTO)のルールに合わせる、知的財産権の保護を徹底する。
そうした圧力は、中国を市場経済へと改革し、ひいては民主化につながると考えるからです。
米議会も研究機関も、ようやく目覚めた。
中国の存在は米国への大きな挑戦であるとの認識で、党派を超えて一致している。
彼らは中国共産党にきちんと対処すると決め、中国民主活動家の意見に耳を傾けるようになっています。』
1989年(平成元年)当時、私は33歳でした。
海の向こうで起きた出来事に、ほとんど関心はありませんでしたが、
ニュースに映る、戦車の前に立ち塞がった学生の姿は記憶に残っています。
そして、30年たった今は、
米中貿易戦争に関する中国のニュースを耳にすることが多くなりました。
私個人としては、その中国が、共産党の一党独裁体制から民主化路線へ転換するのは、
いくら経済発展を遂げて国民が裕福になっても、
王丹さんが指摘されているように、ほぼあり得ないのではないかと思っています。
いずれにしても、世界第二位の経済大国・中国の政治経済の動向に関心を持つようになったのは、
「私も少しは大人になった」ということかもしれません‥‥。