金融庁の「老後2000万円」報告書については、先月27日のこの日記でも、
『資産形成の難しさ』と題して所感を書きましたが、
この問題がここまで大騒ぎになるとは、正直、思いませんでした。
この報告書が前提としたのは、総務省の17年の家計調査の数値で高齢無職世帯の平均像です。
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの世帯で、支出が収入を月約5万円上回るとし、
それを蓄えから取り崩すため、預貯金や退職金などで2千万円分必要だと指摘したもので、
既にいろんな方が言われているように、必要額は現役時の年収や老後に望む生活水準で
大きく違ってくるものだと、私もそのように理解しています。
そして、今日の「Yahoo!ニュース」を読んでいると、
「2000万円 35歳から貯めるには」という解説記事に目が留まりました。
その解説記事終盤の年金についての記述を自分なりに要約すると、概ね次のようになります。
・生活に必要な年金を得られるのは、厚生年金で40年間しっかり働いて、
年金も納め続けてきた人に限る。
・投資でインフレ率を超えるようなリターンを長期に渡って安定的に出すのは
万人にできることではない。
そもそも国民年金のみの予定の方や、年金を納めていない人は、
年金だけで暮らすことは明らかに不可能。
・年金だけで暮らすのが不可能な場合は、基本的には資産を全部処分した上で
生活保護を受給することになる。
・生活保護の原資は税金なので、働くひとが減ると、働かない人からも税金を徴収する必要がある。
年金生活者から税金を徴収するには消費税しかなく、年金制度が信頼を失い、
払わない人が増えると、消費税の税率をさらに上げる必要が出てくる。
・頑張って働いて、年金も税金もしっかり納めて、コツコツ貯金もしてきた人が、
いざ年金を受け取る段階になったら、今度は、計画的にやってこなかった人のために
消費税を払う。そんな未来が我々を待っている。
う~む‥‥。
老後の蓄えの必要性を説く報告書は、しごく当たり前のことを言っているように私は思うのですが、
さすがに、この解説記事の後半部分は、ますます将来不安と社会の分断を、
助長するような気がしてなりません‥‥。そう思うのは私だけなのかな?
ひょっとして日本は、努力して働いても老後は報われない国、長生きしても希望が持てない国に、
いつの間にかなってしまったのでしょうか‥‥?
皆がそういう気持を抱いて将来の展望を持てないことが、一番深刻な問題のような気がします。