長い時間をかけてようやく
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子著:新潮文庫)を読了しました。
やはり、読後に一番印象に残ったのは、「おわりに」で著者が述べられた、次のような言葉でした。
『私たちは日々の時間を生きながら、自分の身のまわりで起きていることについて、
その時々の評価や判断を無意識ながら下しているものです。
また現在の社会状況に対する評価や判断を下す際、これまた無意識に過去の事例からの類推を行ない、
さらに未来を予測するにあたっては、これまた無意識に過去と現在との対比を行なっています。
そのようなときに、類推され想起され対比される歴史的な事例が、
若い人々の頭や心にどれだけ豊かに蓄積されファイリングされているかどうかが
決定的に大事なことなのだと私は思います。
多くの事例を想起しながら、過去・現在・未来を縦横無尽に対比しているときの人の顔は、
きっと内気で控えめで穏やかなものであるはずです。』
ちなみに、ここでいう「内気で控えめで」というのは、歴史をつかさどる女神クリオのことで、
クリオは女神のうちで最も内気で控えめで、めったに人にその顔を見せなかったそうです。
う~む、なるほど‥‥。重みのあるお言葉です。
高校時代の教科書には数ページの記載しかなく、授業も時間切れで駆け足で行われました。
私もできれば高校時代に、加藤先生のような授業を受けてみたかったです。
(いゃあ~、それにつけても、私立栄光学園の生徒さんの、質問のレベルの高さには驚きました。)
良書に出合えて、とても幸せな気持ちです。そして、これこそが読書の醍醐味だと思います。
- 作者: 加藤陽子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/06/26
- メディア: 文庫
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