冷たい雨が終日降り続き、気温も上がらない寒い一日となりました。
さて、月日が経つのは早いもので、今日29日で2月も終わりです。
月初めから連載が続いていた、樂直入(陶芸家・十五代樂吉左衞門)さんの「私の履歴書」も、
今日がその最終回でした。最終回のこの日も、次のような印象深い記述がありました。
『「あなたの宝物は?」と問われば「人の出会い」と答える。
ここに記したように私は多くを迷い、懐疑し、恐れ歩んできた。
人生の際どさの中で大切な人に出会い、導かれた。
「では、あなたの誇りは?」。それは「独立自尊を貫いた祖先の歩みと樂焼の伝統」。
そこには多くの葛藤もあるが、受け継ぐ者にしか分からぬ。甘んじて孤独である。
「愛するものは?」と問われば「家族です」と答える。ただ、愛は最大の煩悩。
~ (中略) ~
ただ、いつか終わる命の時間が動き始めていることをひしひしと感じる。
やるべき事は多くは望めない。確実に見定める。世間不追不要、もうよい。
ひたすらに「看脚下(かんきゃっか)」すればよい。私は今後も葛藤を繰り返す。
迷い、恐れ、悲しみを生きていくだろう。その歩みが作品を生む。
作品は私自身、世界もその中に在る。それを信ぜずしてものが作れようか、人を愛せようか。
最後に「あなたが信ずる大切な思いは?」と問われば、私は「命の循環」と答えよう。』
「哲学的な問い」に対して、「明確な答え」を用意することは、とても難しいことだと思います。
私のような凡人は、長く生きても、悲しいかな「その答え」を、言葉として語ることができません。
ただ、「生きていくうえで必要なものは?」と問われれば、迷わずに「希望」と答えたいと思います。
ところで、話は変わりますが、この雨の中、自宅近くの大型スーパーに買い物に出かけたところ、
マスクに加えて、トイレットペーパーやティシュペーパーも品切れとなっていました。
信用できる機関が、信用できる情報を、正確かつタイムリーに発信する必要性を、
「令和2年2月29日」という日は、切に感じた日でもありました。