しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

英知を結集する

土居丈朗・慶大教授の執筆による、日経新聞「経済論壇から」は、

今日は「コロナ危機への対応 提言」というタイトルの記事でした。


新型コロナウイルスには、「感染拡大防止が最も効果的な経済対策ではあるが、

経済政策面では、財政金融政策をどう用いるかが焦点となっている」とのことで、

土居教授は、次のような識者の論評を紹介されていました。


『米エール大学名誉教授の浜田宏一氏(週刊ダイヤモンド3月28日号)は、

 感染拡大の影響は景気循環とは別問題なので、マクロ政策ですぐに全部、回復させるのは難しいから、

 まずは不安心理や不透明感からくる無用な混乱などの拡大を防ぐのが重要と説く。

 金融政策で、間接的ではあれ、市場の不安心理を抑えることはできる。

 ただ、どの国も金利を下げたり、量的緩和を進めたりするので、

 為替切り下げ競争のようになるとみる。

 浜田氏は、変動相場制の下ではそれはやむを得ず、

 各国が自国にとって最適な金融政策を採用する形で自由放任主義的にするのが

 世界経済にとって最も望ましいとの結論を導く。

 緊急事態に財政赤字が心配だとか、将来世代の負担が増えるといった議論は意味がないと断じる。


 東京大学特任教授の河合正弘氏(日経ヴェリタス3月22日号)は、

 新興国のコロナ対策や金融危機防止のためにも、国際政策協調が不可欠と主張する。

 ただ、感染が拡大している現状では、

 財政金融政策は、感染への不安から人の移動や外出が制約されて、消費や投資の活性化につながらず、

 有効需要を刺激する効果は限られると読む。

 財政金融政策は、他方で、感染終息後の経済回復を促す上で決定的に重要とみる。

 休業補償や所得補償、本来健全な企業が経営破綻しないような資金繰り支援などで、

 感染終息後の早期の経済回復が期待できる。一時的な消費税率の引き下げは避けるべきだと主張する。

 いったん引き下げると、再度の引き上げは政治的に極めて難しくなり、

 社会保障財源が細ると懸念を示す。』


う~む、なるほど‥‥。勉強になります。

休業補償や所得補償、企業への資金繰り支援などの財政金融政策は、

感染終息後の早期の経済回復のために重要な役割を果たすのですね‥‥。

また、今回のような有事において、「財政赤字が心配だとか、

将来世代の負担が増えるといった議論は意味がない」という論旨は、よく理解できるし、

一方で、「一時的な消費税率の引き下げは避けるべきだ」との主張も、おっしゃるとおりだと思います。


読んでいて思ったのは、とにかく世界中の英知を結集することの大切さです。

そうすれば、私たち人類は「見えない恐怖」に打ち勝つことができる‥‥、そう信じたいと思います。