今日の日経新聞一面コラム「春秋」を読んで、三十一文字の短歌の力に感嘆した次第です。
以下、その全文を引用させていただきます。
『「氷雨降る一日をこもりマスク縫ふウイルス猛威の世界の隅で」(小知和弘子)。
先日の日経歌壇にこんな短歌があった。人と人との接触を抑えられた異様な日々。
世界を覆う、その不条理を静かに詠んだ歌が胸を打つ。
三十(みそ)一(ひと)字の文芸の、なんとしたたかなことか。
いま新聞などの歌壇俳壇には、この歴史的厄災にまつわる投稿が殺到している。
とりわけ短歌は時代を映しやすいから、どのメディアでも「コロナ詠」が全盛だ。
「長嶋茂雄(ながしま)さんと握手したから洗はないなつかしきかな 泡を立てつつ」(唐木よし子)。
読売歌壇に載った軽やかな歌にも、一変した社会への嘆きがにじむ。
痛苦を生々しく詠んだ作品も多い。朝日歌壇で目を奪われた一首は
「新コロナ感染者担当のミッションを『赤紙』と呼ぶ医療従事者」(木村泰崇)。
しばしば戦争にたとえられるウイルスとの闘いだが、
医療現場の過酷さこそ戦争そのものだと気づかせる歌である。
こんどの疫病はすでに、世界で30万近い数の命を奪った。それでも、明けない夜はない。
イラストレーターのタナカサダユキさんが、SNSで披露した歌をご存じだろうか。
「しばらくは 離れて暮らす コとロとナ つぎ逢ふ時は 君といふ字に」。
漢字の「君」を分解すると、なるほど「コ」「ロ」「ナ」の3文字。
みごとなユーモアのその先に、希望の灯がまたたいている。』
いゃあ~、コラムで紹介された短歌は、いずれも味わいのある作品ですね‥‥。
たった三十一文字に、世相を反映させることができる才能に、ただただ感服します。
ひょとしたら、十七文字の俳句にも素晴らしい作品があるのでしょうか?
私にも「希望の灯」が見えたような気がします。
ところで、愛媛県では、ここ10日間ほど、新型コロナウイルスの感染者が確認されず、
また、今日からは、地元松前町の小中学生の分散登校が開始されたこともあって、
このまま事態は収束に向かうのではないかと、淡い期待を抱いていましたが、
今日、新たに3人の方の陽性が判明したとの報道がありました。
「希望の灯」が今ここに見えていても、
新型コロナウイルスという「不条理との闘い」は、残念ながら、まだまだ続きそうです‥‥。