NHKEテレで放映された「NHK杯戦アーカイブス」、
「第38回大会・中原誠NHK杯vs羽生善治五段」の対局を観ました。
決勝戦の大一番に勝利したのは、羽生五段(当時)でした。
この大会で羽生さんは、加藤一二三、谷川浩司、大山康晴、中原誠という、
稀代の名棋士を次々と破って優勝したことになります。
対局の解説者は大山康晴さんでしたが、司会の永井英明さんとの絶妙な対話のなかで、
「好き嫌いがないこと」が、食事に限らず、人生にとって大切だと語られていました。
大山さんといい、米長さんといい、当時の解説者は、貴重な人生訓も語られていたのですね‥‥。
当時の私はたぶん、それらの言葉をさらりと受け流していたと思うのですが、
ようやくこの歳になって、その言葉の重みというものが理解できるようになりました。
将棋といえば、一昨日の日経新聞一面コラム「春秋」には、次のようなことが書かれていました。
『‥‥加藤(一二三)さんの持つプロデビュー最年少記録を62年ぶりに更新した藤井聡太七段(17)が、
また新たな歴史を刻んだ。おとといの棋聖戦の挑戦者決定戦。
終日ネット中継にくぎ付けになった愛好家もおられよう。
終盤、人工知能(AI)が予測する最善手を冷静に指し回しタイトル挑戦の最年少記録を書き換えた。
名局だった。コロナ禍で藤井さんは2カ月、対局から遠ざかった。
が、「自分の将棋に向き合うことができた」と会見で語った。比べて我が身は‥‥。
加藤さんは、「孫の成長を見守り続ける祖父の心境か」と祝福した。
かつての升田(幸三)の立場だろう。易経には「飛龍」の語もある。
俊英が天下人に躍進するステージだ。そのときが近い。』
藤井さんも、羽生さんのように人間的にも成長されて、
名棋士として長く活躍されることを期待しています。