昨日7日に公表された国立国会図書館の立法調査資料
「新型コロナウイルス感染症と経済対策~令和2年度第2次補正予算まで」
というタイトルのレポートが大変勉強になりました。
この数か月、世の中の動きが目まぐるしく、いつどんなことがあったのか忘れがちでしたが、
このレポートでは、国の第2次補正予算成立までの時系列表や、
第1次補正予算、第2次補正予算のそれぞれの概略表が分かりやすく掲載されていて、
頭を整理するうえで役立ちました。なお、レポートの中では、次のような記述が特に印象に残りました。
『今般の新型コロナウイルスの感染拡大による経済的ショック(以下「コロナショック」という。)は、
①経済状況が急激に悪化したこと、②経済の落込み幅が極めて大きいこと、
③需要面にとどまらず供給面や所得面にもショックが及ぶ複合型の経済的ショックであること、
という特徴を有し、国難ともいうべき様相を呈している。
こうした状況下での最優先課題は
一時的ショックの恒久化と不可逆化を可能な限り抑制することであり、
そのために失業と企業倒産を回避し、
個人の所得減少を緩和する方策を講ずることが最も重要であると考えられている。
このため、2 回の補正予算を含む一連の経済対策の基本的な方向性、
すなわち、政府が、中央銀行と協調しつつ、雇用と事業と生活を守るために
財政・金融・税制といったあらゆる政策手段を総動員すること、
そのために政府債務が増加してもやむを得ないこと、
については有識者からおおむね賛同が得られている。』
『新型コロナウイルス感染症へのこれまでの対応に関しては、同感染症による死亡率が低いことや、
感染抑制策としての活動制限が社会に甚大な負の影響をもたらしたことを挙げ、
結果的にコストに見合わない過剰対応であったと指摘する向きもある。
そもそも、病気の克服も経済活動も、どちらも生命維持のための重要な手段であり、
感染拡大を抑えることと経済的ロスを小さくすることの間にはトレードオフの関係が存在する。
感染抑制策としての活動制限が長引けば経済は取り返しのつかない状態になりかねない、
感染収束には一定の感染拡大が必要という真実を直視すべし、との経済学者の言説は、
重く受け止められるべきであろう。
なぜなら、いつの時代、どこの国でも、失業など不況の痛みは弱者に集中するからである。』
う~む、なるほど‥‥。
今回のような困難に際し、政務債務が増加することは、有識者の賛同が得られているのですね。
なお、余談ですが、国立国会図書館のHPには、秀逸なレポートが数多く掲載されています。
現役の公務員の皆さんには、定期的に国立国会図書館のレポートをチェックされることをお勧めします。
きっと、仕事の役に立つはずです。