昨日12日の朝日新聞一面コラム「折々のことば」は、玄田有史さんと荒木一男さんの、
「人口が減っても、地域は簡単になくならない。
だが、小ネタが尽きると、あっという間に地域は衰退する」という言葉で、
いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。
『東大社会科学研究所で〈危機対応学〉プロジェクトを推進した二人は、その中でこの「仮説」を得た。
地域には突発的・段階的・慢性的など複層の危機が併存する。
必要なのは一発勝負の大改革でなく、日々の生活に潜む、
無理のない、でもちょっと楽しい、そんな手がかりの集積だと。
東大社研ほか編「地域の危機・釜石の対応」から。』
う~む、なるほど‥‥。
東大社会科学研究所の「危機対応学」といえば、
今年3月の令和元年度東大卒業式で、五神真総長が、次のようなことを述べられていました。
『‥‥「危機対応学」の調査研究からも、社会における多様性の重要性が浮かび上がっています。
当初の想定を超えた大規模な自然災害に直面したときに、即座に適切に対応することは、
たやすいことではありません。
そのような力を醸成するには、
他者への寛容、未知への好奇心、異なる主体との積極的交流が必要です。
それには、多様性を許容する社会が広く実現していなければならないのです。』
「小ネタ」‥‥、鷲田さんによると「日々の生活に潜む、無理のない、
でもちょっと楽しい、そんな手がかり」には、
この総長告辞で述べられているような
「他者への寛容、未知への好奇心、異なる主体との積極的交流」が必要であり、
それは「多様性を許容する社会を実現するためのに欠かせないもの」ではないかと、
私なりに解釈した次第です。