昨日付の「溜池通信・不規則発言」に、「かんべえ」さんが次のようなことを書かれていました。
・先日、「保健所というのは各都道府県の管轄だから、
厚生労働大臣の指揮命令系統にないんだよねえ」という話を聴いて、
目が点になってしまった不肖かんべえである。
この国には、なんと不思議なことがあるのだろうか。なんでそんなことになっているのだろう??
・どうやらこういうことらしい。
この国の感染症対策の体系は、コレラなどの急性感染症対策としての「旧伝染病予防法」(明治30年)、
結核対策としての「旧結核予防法」(大正8年→昭和21年に「新結核予防法」)、
「保健所法」(昭和12年→昭和22年改正)という経路をたどって作られてきた。
保健所が中心になって感染者を入院隔離して、蔓延を防止するという対応を基本としてきた。
かつては、それでよかったのである。
・しかしこの体制は、飛行機や新幹線を使って人が県境を超えて派手に移動するとか、
海外から年間3000万人以上も外国人が来るとか、感染力が極めて強く、
無症状者からも感染するCovid-19のような感染症が広がることを前提としていない。
都道府県を横断して感染症が全国に蔓延する、というのは想定の範囲外であり、
全国規模の明確な指揮命令系統も存在しないのでありました。
う~む‥‥。果たしてそうなのかな‥‥?
私は、保健福祉行政に一度も携わったことがないので、迂闊なことは言えないのですが、
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)をつらつらと眺めてみると、
又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるとき」は、
保健所を設置する都道県知事、市長(政令指定都市や中核市等)、区長(特別区)に対し、
法令の規定により行う事務に関し必要な指示を行うことができるようになっているみたいだし、
感染症法において都道府県、保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている主要な事務は、
「国が本来果たすべき役割にかかわる第一号法定受託事務」(昔の機関委任事務です。)であるように思います。
そうだとするならば、ご指摘の点は、法令上の問題というよりも、
運用上の問題のように思うのだけれど、違うのかしら‥‥?
もっとも、法令上でも運用上でも解決できない広域的な課題・問題は、
国会で法律を改正して、国の権限を強化する必要があるのでしょうね、きっと‥‥。