日経新聞電子版のNextストーリー「学び」では、今日から「平成の経済史」についての連載が始まりました。
執筆者は、小峰隆夫・大正大学教授です。
小峰教授は、「平成を振り返ることにはいくつかの意味がある」として、次のように述べられていました。
記述の最初と最後の箇所を抜き出して、この日記に書き残しておきます。
『‥‥まず、平成の日本経済は多くの試練に見舞われた。
その中の多くの課題、デフレの克服、財政・社会保障改革、人口減少への対応、地方創生などは、
未解決のまま令和時代に引き継がれている。
平成の課題は現代に生きる我々自身の課題でもあるのだ。
平成時代を学ぶことは、現代経済の新常識を学ぶことでもある。
平成時代には、それまでの経済の教科書には書いていなかったようなことが多く起きた。
かつてはインフレこそが物価問題の中心だったのだが、今や議論の中心はデフレになっている。
マイナス金利やイールドカーブコントロール(長短金利操作)といった
平成以前には考えられなかった経済政策も行われるようになった。
平成以前の経済常識は大きく書き換えられているのである。
~ (中略) ~
‥‥以上のような経済の経験から我々は何を学べるだろうか。
是非、読者の方一人一人に考えてみて欲しいと思うが、私が得た教訓は次のようなものだ。
①バブルは、それが崩壊した後、バブルの時のプラスを吹き飛ばしてしまうような
長く厳しいマイナス効果を引き起こす。
大学でバブルについて話すと「一度そういう経済を経験したかった」
という感想を書いてくる学生がいる。私に言わせれば、とんでもないことだ。
②我々が直面している経済的課題を正しく認識するには、かなり長いタイムラグがある。
バブルだという認識が生まれたのは、バブル末期になってからであり、
バブルの崩壊が経済に大打撃をもたらすと気が付くまでにも長い時間がかかった。
③我々は、困ったことが起きると、政府の経済政策に頼りがちである。
しかし、金利を引き下げ、公共投資を追加し続けても、バブル崩壊後の経済的低迷は続いた。
我々は経済政策の有効性をもっと丁寧に吟味すべきだったようだ。』
小峰教授といえば、「平成の経済」(日本経済新聞出版)という著書があります。
この本は、2019年の日本経済新聞「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」第一位に選ばれた本で、
ずっと読みたいと思っていましたが、私の少ない小遣いでは、ちょっと高めなので、
これまで購入を躊躇してきました。(決して大袈裟ではなく、本人にとっては深刻な問題なのです。)
平成という時代は、「失われた30年」でもあります。
その「試練の時代」を、私はどのようにして生きてきたのか‥‥?
今回の連載記事を読み終える頃、きっと私は、迷わずに書店に足を運ぶことになると思います。