今日の日経新聞一面コラム「春秋」に、チェコのハベル大統領のことが書かれていました。
その全文は次のような内容でした。
『チェコの首都プラハのバーツラフ広場は、同国の苦難の歩みを伝える。
広場にワルシャワ条約機構軍の戦車が乗り入れ、民衆を蹴散らした。
2002年夏、当時の天皇・皇后両陛下(今の上皇ご夫妻)は広場で供花された。
案内したのは、ハベル大統領。かつて反体制の劇作家だった。
プラハの春から約20年後の1989年。
自由を求める市民が再び広場を埋め尽くし、無血の民主化を果たす。「ビロード革命」である。
ハベル氏はご夫妻に、「私たちは民族や人種、文化などあらゆる違いをお互いに尊重しあうべきです」
と静かに語りかけた。
チェコの上院議長や経済人らによる代表団が台湾を公式訪問している。
本紙は、「今回の訪問は、ハベル元大統領の精神を示すことだ」との代表団のコメントを伝えた。
このニュースに接し、プラハでの取材の記憶がよみがえった。
旧ソ連の圧力に苦しんだ小国の自由への連帯だろうか。中国は「卑劣な行為」と非難した。
プラハの春が挫折し、統制が強まった1970年代。
ハベル氏の「力なき者たちの力」という一書が地下出版された。
「忖度(そんたく)」や「空気を読む」風潮を掘り下げた。
昨年、日本語訳がようやく出た。手に取ってみた。
没後9年。彼の言葉がいま、なんと切実に響くことか。』
コラムニスト氏が手に取られた日本語訳とは、
阿部賢一・東大准教授の『力なき者たちの力』(人文書院)のことだと思います。
また、この地下出版されたハベル大統領の著作は、
NHKテキスト「100分de名著」の本年2月号でも取り上げられましたが、
このテキストの執筆者も阿部賢一・東大准教授でした。
私は、読書の記録を「読書メーター」というアプリで管理していますが、
昨日の「平成の経済」に続いて、「読みたい本」がどんどん追加されていきます。
残された人生の中で、本を読む時間も必然的に限られたものとなりますが、
どの本を優先的に読んでいくのかは、とても悩ましい問題です‥‥。