しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

共通の価値を見いだす知性

日経新聞一面コラム「春秋」を毎日読んでいると、

年に数回、涙腺が緩み、心を打つコラムに出合うことができます。

今日のコラムが、まさにそのような「名コラム」でした。以下、全文をこの日記に書き残しておきます。


『真ん中にイスラム教の礼拝堂モスクを配置し、その周囲を麦の穂がぐるりと円状に取り囲む。

 かつて東西の交易路として栄え、「文明の十字路」と呼ばれたアフガニスタンの国旗である。

 小麦はこの土地に生きる人々の糧であり、「聖なるもの」の象徴でもあるという。

 19世紀に英国、ロシアの勢力争いに巻き込まれ、近年は同時多発テロをめぐる戦禍で国土は荒廃した。

 「戦乱の十字路」へと様変わりだ。加えて度重なる干ばつが、民を苦しめた。

 荒野を黄金色の麦の穂が風になびく沃野に‥‥。

 土木技師がいない現場で設計図を引き、ひたすら井戸を掘った男がいた。その数1600本。

 昨年、凶弾に倒れた医師の中村哲さんは、義理と人情のクリスチャンだった。

 〈高倉健演ずる「花と龍」の金五郎は祖父なり 弱者を見捨てておけぬ〉とは

 歌人・川涯利雄さんの追悼歌だ。論語にも親しんだ。

 「いまだ生を知らず、いずくんぞ死を知らん」の死生観は、

 キリスト教イスラム教にも通じる、と語っていた。

 共通の価値を見いだす知性。寡黙にして対話の名手。なぜこの人が、と誰もが天を仰いだ最期だった。

 「一粒の麦、もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、死なば多くの実を結ぶべし」

 の聖句が想起される。冬ざれの大地に種は落ちた。

 あすは、現地で「ナカムラのおじさん」と慕われた平和の使徒の忌日である。』


このコラムの中で印象に残ったのは、「共通の価値を見いだす知性」という言葉でした。

はっきりと説明することは私にはできませんが、

その伝えようとする言葉の趣旨は、雰囲気として理解できるように思います。


この「知性」を持つ人こそが、人々の範となる、真のリーダーなのだと思います。

どこかの国の某大統領とは違って‥‥。