今月7日付けの溜池通信「かんべえの不規則発言」で、「かんべえ」さんが、
「令和2年度 年次経済財政報告」(経済財政白書)のことについて書かれていました。
今年の白書は、春先がコロナで大騒ぎだったので、
「せめて4-6月期のGDPを見てから書きたい」ということで、大幅に遅れて誕生したとのことでした。
それはさておき、「かんべえ」さんが紹介されていた、その白書中の「コラム」を読んで、
コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない今の状況でも、
政府が「GoToトラベル事業」をなかなか全面的に見直ししない理由が、
ようやく理解できたような気がしました。
『‥‥結果的には、これまでのところ、年初来の人口10万人対比でみた死亡率は1.2%程度と、
欧米諸国の数十分の1に抑えられている。
なお、海外の研究では、移動制限やロックダウンといった公衆衛生政策が
死亡率で測った感染症拡大を防ぐのに効果的だったという分析がある一方、
感染症の自律的な収束パターンがみられることから、
ロックダウンの効果は過大評価されているという分析もある。
~(中略)~
元々、我々は新型コロナウイルス感染症のリスクだけでなく、様々な死亡リスクに直面している。
例えば、インフルエンザは例年約1,000万人前後の患者が発生しており、
1日当たりの死亡者数は、感染者数がピークとなる1、2月には47人程度、
年間の死亡率(人口10万対)は2.9程度である。
日常の感染症対策(手洗い・マスク・うがい等の実践や三密を避ける行動)を徹底することで
感染拡大の防止を図ることが可能であることを踏まえると、
過度に経済活動を規制することなく、流行を防止できるのではないかとも考えられる。
地道ではあるものの、「新たな日常」に向けた働き方の見直し、
行動時におけるエチケットの実践といった、一般的な生活様式の見直しを図り、
感染防止と経済活動の両立を目指すことが肝要である。』
「感染防止優先」か、それとも「感染防止と経済活動の両立」か?
「かんべえ」さんご指摘のように、
「経済の専門家」と「医療の専門家」には、それぞれの視点や考え方があって、
「官庁エコノミスト」からすると、コラムのような内容に落ち着くのだと思います。
その考えはそれで良しとして、「官庁エコノミスト」は、このコラムを書く前に、
最前線の医療の現場に、一度でも足を運ばれたことがあるのかしら‥‥?