「さよなら僕らの雑誌たち」というタイトルのエッセイを寄稿されていましたが、
そのなかで沢木さんは、次のようなことを述べられていました。
『‥‥だが、それ以上に、ここ数年は、雑誌を読んでいる乗客という存在を見かけることがないからだ。
バスだけではない。電車でも、雑誌を読んでいる人に遭遇することがない。
いったい雑誌の読者はどこにいるのだろう、と不思議になるほど見かけない。
新聞を開けば雑誌の広告は出ているし、書店に行けば平台に雑誌は並んでいる。
しかし、街で雑誌を読んでいる人を見かけることがない。
雑誌の読者が、眼の前から忽然(こつぜん)と姿を消してしまった。』
はぃ‥、私も毎日、電車通勤をしていますが、ここ数年、
車内で雑誌、特に、週刊誌を読んでいる人に遭遇したことがありません。
車内では、ほとんどの乗客が、スマホの画面を見たり、あるいは操作したり‥‥。
本を読んでいる人を見かけても、そのほとんどは文庫本です。
昔は、「週刊ポスト」や「週刊現代」などの雑誌を読んでいる人が多くいて、
読み終わったら、その雑誌を網棚に置いて、そのまま降車する人もいたというのに‥‥。
さらに付け加えるならば、病院の待合室などでも、雑誌を読んでいる人を見かけたことがありません。
この「需要の消滅」ともいうべき社会現象は、どのように理解したらいいのでしょうか‥‥?
沢木さんのエッセイを読んで、街で雑誌を読むという「文化」が、
私たちの社会から、すっかり消え失せてしまったのではないか‥?、と感じた次第です。