「デジタル化の落とし穴~期待が奪う精神的健康」という論評を寄稿されていました。
『‥‥ところで、昨年来「スマホ脳」(新潮新書)という本が評判になっている。
スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンという人の著作で、
彼は、スマートフォンが子供たちに与えるとてつもない危険性について警鐘を鳴らしている。
~(中略)~
ハンセンによれば、スマホの普及とうつ病の急増には強い相関関係があるらしい。
また、英国のいくつかの学校で、学内のスマホ保持を禁止したところ、
確実に成績があがり、また成績の格差が縮小した、という。
確かに、人間には、新しいものへの「期待」が脳を活性化する面はあるるのだろう。
また同時に、もともと人間は、小さな集団で生き、ほぼ同じ場所で、
たえず環境の変化や新奇な事態に注意しつつ生活していたはずである。
そこでは、自分の身体と五感を働かせて環境の異変を感じ取り、
情報の真贋(しんがん)や有用性を判断し、他者と顔を合わせて意思疎通するという
「リアル」な行動や感受性が求められていたであろう。
現代でも、具体的な場面ではそのような行動力や感受性が不必要となったわけではない。
教育とは、その意味での社会性や感受性を養う場である。
スマホこそが、教育を妨害しているかもしれないのである。』
う~む、なるほど‥‥。佐伯先生は、この論評のなかで、
新しいものへの期待が、人間の脳内で快楽物資を増加させるという「報酬システム」、
今日では、この「報酬システム」の典型は、スマホに依存するネット情報なのだけれど、
これが今日、文明の進歩を促すどころか、われわれから精神的な健康を奪い取ってゆく、
と指摘されていました。
最近、塾通いを始めた小学4年生の孫娘に、娘はスマホを買い与えています。
ほんの3~4歳の頃から、娘が持つスマホに慣れ親しんできている孫娘は、
ゲームや音楽など、いとも簡単にスマホを操ることができます‥‥。
でも、これって、決して喜ばしい現象ではないことが、今日の論評を読んでよく分かりました。
孫娘には、スマホより読書の習慣を身に着けてほしいと願っています。