しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「100分de名著」の魅力

NHKテレビテキスト、100分de名著『華氏451度 レイ・ブラッドベリ』を読了しました。

テキストの執筆者は、戸田山和久名古屋大学大学院情報学研究科教授です。

本を所持しているのが見つかると、家ごと焼き払われてしまう近未来のディストピア小説とのことで、

昨日から読み始めたのですが、とても面白くて一気に読んでしまいました。


なお、番組HPには、本書についての次のような紹介文が掲載されていました。

『「人間にとって本とは何か?」「思考や記憶のかけがえなさとは?」「権力者の論理とは?」

 「反知性主義」という思潮が猛威を振るう中、SFという手法を使って、

 私たちにとって「思考する力」や「記録することの大切さ」などを

 深く考えさせてくれる文学作品があります。‥‥』


そして、テキストのなかでは、最後に書かれている次の記述が、やはり一番印象に残りました。

『‥‥本より大切なのは、記憶し伝えること(本はその手段)と、それに基づく反省的思考です。

 この二つが失われると社会は愚者のパラダイスになります。

 そして、愚者のパラダイス化を避けるために終末論的リセットに期待してはなりません。

 《知識人》は社会の中で粘り強く《啓蒙》を続けていかなければいけないのです。

 しかし、大衆化した現代社会において、《知識人》による《啓蒙》ほど困難なものはありません。

 それをどのように再構築するのか。

 残念ながら、その方法は「黙示的な大量破壊と、生き残ったこころ正しき者による再生」に終わった

 この小説には書かれていません。続きを考える役割は、私たち読者が担わねばなりません。

 現代社会において知性への信頼を取り戻し、「みんなで賢くなって、不幸から抜け出そう」という

 《啓蒙》の営みをどのようにして再び立ち上げることができるのか。

 この問いこそが、本書に描かれた「失敗した啓蒙家たち」クラリス、おばあさん、ベイティ、フェーバーが

 あなたに託したろうそくの炎なのです。引き継ぎなさい。』


「100分de名著」の魅力は、テレビ番組で名著の概略を学べるほか、

番組指南役が書かれたテキストで、何回も繰り返し、しかも内容を掘り下げて読むことができることです。

また「100分de名著」のおかげで、私がこの手に取ることのなかった名著の存在と、

その内容を知ることができることです。

今回も、テキストの方を先に読了してしまいましたが、本作品のテレビ番組も楽しみにしています。


追記

孫娘は、先月25日で満10歳になりました。

これまで元気で育ってくれたことに感謝したいと思います。

本好きの孫娘ですが、塾に通うようになってから、本を読む姿を見ることが少なくなったように思います。

孫娘に残してあげるような財産は私にはないけれど、

この「100分de名著」のテレビテキストは大切に保管して、孫娘に引き継ぎたいと思っています。

「ろうそくの炎」のように‥‥。