今日の日経新聞オピニオン欄「中外時評」の、
「コロナ下の格差を正せるか」というタイトルの 次のような記事が勉強になりました。
(本文中、省略した記述があります。)
『米スタンフォード大学のウォルター・シャイデル教授は
戦争、革命、国家の崩壊、疫病を「平等化の4騎士」と評した。
「既存の秩序を破壊し、所得と富の分配の偏りを均(なら)し、
貧富の差を縮めることに何より大きな役割を果たしたのは、暴力的な衝撃だった」と自著に記す。
過去の疫病には確かに「平等化の騎士」の顔もあった。
米サンフランシスコ連銀のエコノミストらによると、
1347~52年の黒死病、1918~20年のスペイン風邪などは、
実質的な賃金の上昇や土地・資本収益率の低下を促す傾向がみられたという。
ならば新型コロナウイルスの世界的な流行はどうか。
「偉大なイコライザー(平等化をもたらす装置)にはなり得ない」。
英オックスフォード大学のイアン・ゴールディン教授の結論は、多くの識者の声を代弁している。
コロナ下の格差拡大を裏付けるデータには事欠かない。
スイス金融大手のクレディ・スイスによれば、
2020年末の世界の個人資産は418兆ドル(約4.6京円)。
株安などで1~3月は4%減ったが、その後の政策対応を追い風に通年では7%増えた。
100万ドルを超える資産家は、10%増の5600万人。
これら全人口の1%にすぎない富裕層が資産全体の46%を握るのに対し、
全人口の55%を占める庶民の保有割合はわずか1%にとどまる。
‥‥コロナ禍は命と暮らしの両面で弱者により厳しい試練を課し、強者との格差を広げた。
そんな弱者を救済する金融緩和と財政出動が株式相場や不動産価格などを押し上げ、むしろ強者を潤す―。
未知のウイルスと異例の政策対応が相まって、問題を複雑にしている印象は否めない。
米ニューヨーク市立大学のブランコ・ミラノビッチ客員教授は少数の強者が所得も資産も手に入れ、
多数の弱者を置き去りにする今の資本主義を「ホモプルーティア(Homoploutia)」と呼んだ。
ギリシャ語の「同一」と「富」の造語である。
‥‥もちろん各国の当局が座視しているわけではない。大企業や富裕層に応分の負担を求め、
広く国民を潤す成長戦略や安全網対策の財源に充てようとするのは、米欧などに共通の流れだ。
巨大IT(情報技術)企業の独占や寡占を防ぐ規制の強化には、格差是正の意味合いもある。
‥‥「平和的な政策改革では、今後大きくなり続ける難題にうまく対処できそうにない。
だからといって、別の選択肢はあるだろうか?」。冒頭のシャイデル氏は自著の最後でこう問うてもいる。
「4騎士」の暴力ではなく、我々の努力で格差是正の成果をあげ、
平等化の「第5の道」を証明したいところだ。』
へぇ~‥‥。戦争、革命、国家の崩壊、そして疫病は、「平等化の4騎士」と評されるのですね。
確かに、歴史上は、そうした面があったのでしょうね‥‥。
ところが、今回の新型コロナウイルスは、どうやら「平等化の騎士」にはならなかったようです。
逆に、弱者を救済するはずの金融緩和と財政出動が、株式相場や不動産価格などを押し上げ、
むしろ強者を潤したとか‥‥。では、それらに代わる政策は、どんなことが考えられるのでしょう‥‥?
平等化の「第5の道」を模索するのは、とっても険しい道のりになるのかもしれません。