今日、8月22日は、向田邦子さんの没後40年の命日とのこと‥‥。
日経新聞一面コラム「春秋」には、次のようなコラムが掲載されていました。
『酒場に立ち寄ったのは、いつが最後だったか。巣ごもり暮らしは当分、続きそうだ。
自宅で安くて簡単にできるうまい酒のアテはないものか、とお悩みの左党におすすめのレシピがある。
ワカメを油でひすい色に炒め、かつお節をたっぷり投入。しょうゆで味付けする。
美味である。ビールにも日本酒にもあう。体にも良さそうだ。
実はこれ、相当いける口だった作家の向田邦子さんの随筆に登場する自慢の手料理だ。
いしだあゆみさんにも伝授した。後日、女優の美しい手の甲に小さな火ぶくれがあった。
コツはワカメの水気をよく切っておくこと。怠ると油がはねてやけどをしてしまう。
向田さんが自炊を始めたのは1964年。東京五輪の開会式当日、国立競技場近くで家を探した。
「たいまつを掲げた選手が、たしかな足取りで聖火台を駆け上がってゆき、火がともるのを見ていたら、
わけのわからない涙が溢(あふ)れてきた」。
戦時中、精いっぱいの愛を注いでくれた父からの自立が彼女を感傷的にしたのか。
きっかけは親子ケンカだった。
でも、家族の述懐によると、頑固おやじが娘を自由にしてやろうと、出て行くように仕向けたという。
ドラマ「寺内貫太郎一家」の一場面のようだ。
きょうは昭和の庶民の食卓と人情を描いた名文家の没後40年の命日。
彼女が愛した「豚の薄切りとホウレンソウの鍋」をアテに献杯しようか。』
はぃ‥、このお話は、『向田邦子ベスト・エッセイ』(向田和子編:ちくま文庫)の
「食いしんぼう」の章「食わらんか」という題のエッセイに書いてあります。
向田さんの「わが家の手料理」として紹介されているのは、「若布の油いため」のほか、
「豚鍋」「トマトの青じそサラダ」「海苔吸い」‥‥。
ちなみに、「若布の油いため」のコツは、「ワカメの水気をよく切っておくこと」のほかに、
『左手で鍋蓋をかまえ、右手のなるべく長い菜箸で、手早く若布をかき廻す』ことで、
コラムに登場するいしだあゆみさんは、この「鍋の蓋」を忘れたそうです。
今日のこの日記は、夕食の支度の合間に書いています。
そのメイン料理は、「チキンガーリックステーキ」‥。上手にできたら私も「献杯」しようかしら。
そして私も、「我が家の手料理」と言えるものを、なんとかマスターしたいと思います。