NHKテレビテキスト、100分de名著『戦争は女の顔をしていない~アレクシエーヴィチ』を読了し、
同時に、番組の視聴も終えました。
「戦争は女の顔をしていない」は、第二次世界大戦中、ソ連軍に従事した女性たちの姿を、
500人を超える証言者の声によって描き出した作品で、
今回のテレビテキストの執筆者で番組の指南役は、ロシア文学研究者の沼野恭子さんでした。
番組の最終回で、司会の安部みち子アナウンサーが、この本を読む「意義・意味」について尋ねたところ、
沼野先生は、おおむね次のようなことをおっしゃっていました。
『一つは、多様な文化が共生できる社会にするためには、まず他者の声を聞き理解すること。
二つは、わが事として引き受ける、自分のこととして考えること。
つまりは、他者の声を聞いて、それをわが身に引き受けることの大事さを、この本から学ぶことができる。』
また、番組の最後には、アレクシエーヴィチさん本人からの、
次のような番組へのメッセージが紹介されました。
『この本でとても重要だと私が考えるのは、戦争に対する別の視線、女性の視線です。
女性たちは戦争の正当性を見つけられなない、見つけ出したいとは思わないということです。
女性たちは命あるものを、「生きている命」を守るのです。
血・武器・暴力の時代は去ったのです。
命のとらえ方を今までとは違うものに切り替えるべきなのです。
人の命は物事を測るものさしであってはならないのです。
そしてこれが、「戦争は女の顔をしていない」の軸となる考えなのです。』
100回以上に及ぶ番組の中で、著者ご本人のメッセージが披歴されたのは、
今回が初めてではないでしょうか‥‥。とても力強いメッセージだったと思います。
なお、テレビテキストの中では、
『真の苦しみの中にいる人が絞り出すようにして語る言葉は、崇高なものになる。
証言の中には、たしかにそう感じさせる、宝石のような言葉があります。』という一節が、
強く印象に残っています。
この作品もぜひ読んでみたいと思いますが、その前に、目の前にある積読本をなんとかしなければなりません。