しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

どこか気持ち悪い

今日の日経新聞オピニオン欄の「複眼」に掲載された、

『コロナ感染、なぜ急減』というタイトルの記事が、欲求不満は残ったものの、大変勉強になりました。

「急減の理由は何か、今後はどうなるのか」を、4人の専門家の先生にインタビューしたもので、

そのうち「急減の理由」についての見解は、おおよそ次のような内容でした。


A教授(日本感染症学会前理事長)

 ・「第5波」の感染者急減は一つの要因で説明できないような現象が起きた。いろいろ要因があるが、

  私はワクチンの効果と基本的な感染対策の徹底が非常に強く出たためと考えている。

 
B特任教授(ウイルス学を研究)

 ・新型コロナウイルス感染症の新規患者数が日本で急減した理由は分からない。

  ワクチン接種が進んだことが指摘されがちだが、海外でも接種が遅れたインドネシアで患者が減り、

  タイやロシア、英国は増えてきた。ワクチンだけでは説明できない。

 ・患者の急減はウイルス側に理由があるのかもしれない。

 ・強い感染力を持つ新型コロナのデルタ株はあまりに多くの変異を起こしすぎ、

  人間に感染した時に増えるのに必要な物質を作らせる遺伝情報が壊れるなどして、

  自滅しつつあるのかもしれない。以前に優勢だった株は、デルタ株の流行に押されて勢力を弱めた。


C名誉教授(専門はがん研究)

 ・デルタ型は変異を繰り返し、より感染力が強いものに置き換わっていった。

  すでに天然痘水ぼうそう並みの、これ以上はないような感染力を獲得している。

  特に国内では日本独自のデルタAY・29型が第5波の主流で、これが収束に向かったのではないか。

  仮説だが、ある遺伝子領域に変異が追加され、感染性が失われるといったことが起きている可能性がある。


D准教授(専門はマクロ経済学

 ・我々は3つの要因を分析した。1つ目はデルタ型の感染力が想定以上に小さかった可能性だ。

 ・2つ目は人々のリスク回避傾向だ。

  報道で医療逼迫を知り、感染しやすい行動を避ける傾向が強まった可能性がある。

 ・3つ目は周期性だ。過去の動向は120日周期の波で統計的には説明できる。

  問題はなぜ周期が生まれたかだ。

  新しい変異型が生まれることが理由であれば、今後の感染は増えにくいと言える。


う~む‥‥。(沈黙)

要するに「急減の理由」は、今の知見ではよく分からないということなのでしょうか‥?

なお、記事の中では、アンカーが次のようなことを述べられていました。

『新型コロナの感染が下火になり、安堵感が漂う。外出する人が増え、飲食店にも活気が戻ってきた。

 だが、どこか気持ち悪いのは、感染者が急減した理由がはっきりしないからだ。

 厚生労働省の助言組織によると、今あるデータだけでは不十分だが、

 ではどんなデータを集めればよいかも明言できないという。‥‥』


そう、そうなんですよね‥。

「どこか気持ち悪いのは、感染者が急減した理由がはっきりしないから」なんですよね。

ちなみに、D准教授は、「科学者側で政策決定者を動かすような

説得力のある分析ができていたかを検証することも必要だ」ともおっしゃっていました。

世界中の「知見の総結集」を期待したいと思います‥‥。