先日放映されたNHKスペシャル「四冠誕生 藤井聡太 激闘200時間」は、実に面白い番組でした。
番組のなかでは、谷川浩司九段の次のような主旨の発言が、特に印象に残りました。
『‥‥指さなかった手は対局者だけ 本人だけがわかるものなんですね
指さなかった手の読み筋 読みの深さ そういうことの積み重ねが非常に大きいのではないかと
答えが出ない局面に取り組むのはなかなか苦しい作業でもありますが
藤井さんにとってはそれが逆に楽しいことなのかもしれません』
事実、今年11月12日の第34期竜王戦七番勝負第4局で、
豊島竜王はその109手目で、「5五同銀」か「3五桂打つ」の二つの選択肢があった局面で、
後者を選択し、藤井三冠は同じ局面で、「3五桂打つ」ならば
ギリギリ勝てるかもしれないと思っていたそうです。
う~む‥‥。もし「5五同銀」だったら、その後はどういう展開になっていたんだろう‥‥?
番組ではナレーターの方が、
「将棋は81マスの盤上に、10の60乗以上の局面が表れる広大な宇宙」とおっしゃっていました。
また、さきほどの谷川九段によると、「棋は対話」という言葉もあるそうです。
まさに、このお二人は、盤上で対話をしながら、その大宇宙の「深淵」に迫っているのかもしれません‥。