お正月の3日に放映された、NHKの新春スペシャル「100分deパンデミック論」を見逃したので、
NHKプラスで視聴しました。これは実にありがたいNHKのサービスです。利用登録をお勧めします。
番組は、パンデミックについて示唆をあたえる名著を出演者がプレゼンするという内容で、
見応えがあって、しかも大変勉強になりました。
4人の出演者とその方々が取り上げた名著は、次のとおりです。
・英文学者の小川公代さん ウルフ「ダロウェイ夫人」
・作家の高橋源一郎さん サラマーゴ「白の闇」
はぃ‥、大杉栄の名前に触れたのは、大学の受験勉強以来です‥‥。(苦笑)
この4冊の名著の解説のなかでも強く印象に残ったのは、「白の闇」の最後に書かれているという
目が見えなくなった医者と、目が見えるその妻との、次のような会話でした。(朗読が素晴らしかったです)
妻 「どうしてわたしたちは目が見えなくなったのかしら。」
夫 「わからない。いつかわかる時が来るとおもうが。」
妻 「わたしの考えを言ってほしい?」
夫 「言ってくれ。」
妻 「わたしたちは目が見えなくなったんじゃない。わたしたちは目が見てないのよ。」
夫 「目が見えないのに、見ていると?」
妻 「目が見える、目の見えない人びと」
斎藤幸平さんが指摘されていたように、どうやら今回のコロナ危機に関して、
私たちは「見えてない」ということに気が付く必要がありそうです‥‥。
いつになるか分かりませんが、高橋先生が薦める「白の闇」は、ぜひ読んでみたいと思っています。