しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

遠くに行きたい

昨日の日経新聞「文化」欄に、作家の沢木耕太郎さんが、

「ただそれだけで」というタイトルのエッセイを寄稿されていました。

客引きの男性に紹介された、東北のある都市の居酒屋で、至福の時間を過ごされた体験に基づき、

次のようなことを述べられていました。


『‥‥せっかく旅に出て、

 グルメサイトのランキングに従って食事どころを決めるというのはもったいなさすぎる。

 確かに、グルメサイトで調べた人と、キャバクラの客引きの男性の言葉を信じた私と、

 最終的には同じ店に入ったことになる。だが、もし私がグルメサイトで調べて訪ねていたら、

 その夜の幸福感はそこまで深くなかったような気がするのだ。

 知らない街を歩きまわり、自分の直観や経験を総動員し、

 時には偶然の出会いなどに助けられて一軒の店を発見する。

 そうした私の旅の仕方では失敗することも少なくない。

 だが一方で、思いもよらない成功が待っていてくれたりもする。

 私がもったいないと思うのは、

 意外な成功体験を味わえるかもしれない機会を逸するから、というだけではない。

 旅においても、他の多くのことのようにネットで調べてから行動を起こすというのは、

 失敗することを過剰に恐れる現代の若者の傾向に見合っているように思える。

 人生において、たとえば就職や結婚といった大事に失敗したくないというのはわかる。

 だが、国内における短期の旅などというのは、

 ささやかな失敗をしても容易に回復できる数少ない機会であるだろう。

 私がもったいないと思うのは、失敗が許される機会に、失敗をする経験を逃してしまうことなのだ。

 人は、失敗することで、大切なことを学ぶことができる。

 失敗に慣れておくこともできるし、失敗した後にどう気持を立て直すかの術を体得できたりもする。

 可能なかぎりネットに頼らず、自分の五感を研ぎ澄ませ、次の行動を選択する。

 ただそれだけで、小さな旅もスリリングなものになり、結果として豊かで深いものになるはずなのだ。』


う~む、たまたま入ったお店でおいしい料理に巡り合えるなんて、なんだか「孤独のグルメ」のようです‥‥。

このエッセイを読んで、なぜだかジェリー藤尾さんの名曲、「遠くへ行きたい」を思い出しました。

♬ 知らない街を 歩いてみたい どこか遠くへ行きたい

  知らない海を ながめていたい どこか遠くへ行きたい

  遠い街 遠い海 夢はるか 一人旅


さらに、この名曲を思い出して、どこか遠くに行きたくなりました。

でも、残念ながら、今の私が置かれた家庭環境では、一人旅は「夢はるか」です‥‥。