立て続けに2冊の本を読了しました。
『佐藤優の地政学入門~働く君に伝えたい「本物の教養」』(佐藤優著:学研プラス)と
『世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考』(深井龍之介著:プレジデント社)の
2冊です。どちらも平易な文章で書かれていて、内容も分かりやすく、とても勉強になりました。
まず、「地政学入門」では、次のような内容を知ることができました。
・地理的な条件がその国の政治や経済、軍事・安全保障戦略などに
どのような影響を与えているのかを考察する学問が「地政学」であること
・世界を6地域に分類したイギリスの地理学者ハルフォード・マッキンダーは、
ユーラシア大陸の中心部をさす「ハートランド(心臓地帯)」を制する者が世界を制すと主張したこと
このマッキンダーの理論は「ランドパワー理論」と呼ばれていること
・そのマッキンダーは世界の国々を、ユーラシア大陸の内陸部に位置する「ランドパワー(大陸国家)」と、
国境線の多くが海に囲まれた「シーパワー(海洋国家)」の二つに分類し、
このランドパワーとシーパワーは宿命的に対立する性質を抱えており、
両者は実際、歴史的に戦争や紛争を繰り返してきたことを指摘したこと
ランドパワーとシーパワーとが衝突を繰り返してきた地域一帯を「リムランド(周縁地帯)」と命名し、
「リムランドを制する者がユーラシアを制し、ユーラシアを制するものが世界を制す」と主張したこと
これが「リムランド理論」で、このリムランドを押さえるための海域が、
大陸から突き出た半島や群島、列島などによって囲まれている「マージナルシー(縁海)」であること
次に、「歴史思考」は、私の超お気に入りのポッドキャスト
「歴史を面白く学ぶコテンラジオ (COTEN RADIO)」の深井龍之介さんが書かれたものです。
この本で一番感銘を受けたのは、次の記述でした。
『歴史は複雑です。
あなたの行為が今後どういう意味を持つかは、あなた自身を含め、誰にも分かりません。
ただ一つだけ確実なことがあります。
それは、歴史にとってはある人が「存在すること」が決定的な意味を持つということです。
行為、つまり「やったこと」よりも「いること」が大事なんです。‥‥
‥‥人間は誰でも生きているだけで周囲にものすごく影響を与えているんです。』
う~む、なるほど‥‥。
モンテーニュ「エセー」の、「あなたは生きてきたではないか」を思い起こさせる記述です。
深井さんの「歴史哲学」というか「人生哲学」が、この文章に凝縮されているような気がしました。