昨日、母校の校友会から「早稲田学報」6月号が届きました。
今回の特集は「学生街の喫茶店」でしたが、そのなかの「喫茶店と私」で、
小説家の小川洋子さんが、「ルノワールの読書会」と題したエッセイを寄稿されていました。
そのエッセイには次のようなことが書かれていました。
『学生時代、一週間か二週間に一回、高田馬場のルノアールで読書会をやっていた。
ルノアールには、一号店、二号店、というふうにいくつか支店があったはずだが、
今となっては読書会の会場が何号店だったか思い出せない。
いずれにしても早稲田通りに面したビルの地下にある、広々としているが、薄暗いお店だった気がする。‥』
『‥‥たった一杯の飲み物で、長い時間粘る私たちを、ルノアールはいつもおおらかに許してくれた。
今から振り返れば、学生に優しいお店だった。
その優しさに気づきもせず、私たちは遠慮もなく図々しく振舞っていた。
だから今でも時折、どこかの街でルノアールを見かけると、つい立ち止まってしまう。
自分の作家としての原点はルノアールにあった、としみじみかみしめながら、
感謝の気持ちを伝えたくなる。』
このエッセイを読んで、学生の頃、たぶん同じルノアールで、ゼミの友人と二人、
勉強会をしていたことを思い出しました。
小川さんのご指摘のとおり、たった一杯のコーヒーで長時間居座っても、
ただの一度も、店員さんから嫌な顔をされたことはありませんでした。
そして、早大生に愛される「ワセメシ」を一品ずつ取り上げる「一杯のワセメシ」のコーナーは、
今回は「メルシーのオムライス」でした。
「メルシーのオムライス」といえば数年前、出張で上京した際に、
宿泊先の平河町のホテルから、土砂降りの雨の中、地下鉄を乗り継いで、
メルシーまで夕食を食べに行ったことを思い出します。
学生時代に食べたオムライスを、なぜか無性に食べたくなったのです。
いずれも私にとって大切な、「記憶の中の早稲田」です‥‥。