しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

その年齢の夏は、これが最後

久しぶりに晴れ間が戻ってきました。それと同時に、うだるような暑さも戻ってきました。


さて、今日は町立図書館に行って、7月10日(日)から7月16日(土)までの、

朝日新聞一面コラム「折々のことば」を、まとめ読みしてきました。


この一週間で印象に残ったのは、7月16日のパスカル

「あそこでなくてここ、あの時でなくて現在の時に、なぜいなくてはならないのかという理由は全くない」

という「ことば」で、いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。


『なぜこの家族の許(もと)に生まれたのかの理由もそうだし、なぜあの人と出会ったかの理由も、

 なぜ他の人でなくよりによってこの私が病に蝕(むしば)まれるのかの理由も同じ。

 そうでないこともありえたかぎりでそもそも偶然なのだが、以後このことはその人にとって運命となる。

 17世紀のフランスの思想家の「パンセ」(前田陽一・由木康訳)から。』


前田陽一・由木康訳は中公文庫の「パンセ」だと思われ、私はいつも枕元に置いてあるのですが、

この「ことば」がどのページに書かれているのか、さっぱり見当がつきません。

なにせ約600ページもある著書ですから‥。

時間をかけてゆっくりと探してみようと思っています。せっかくの名言とその解説ですものね‥‥。


追記

この週も「天声人語」には、私の心に響くコラムはありませんでした。

その理由が少し分かったような気がします。

どのコラムも、引用された内容などが難解で、まるでニュース解説を読んでいるようでした。

ちなみに、今日の日経新聞一面コラム「春秋」は、次のような内容でした。


『この3連休、まったく予定がなく、映画館や寄席に足を運び、暇をつぶす仕儀となった。

 たまたま上映していた「からかい上手の高木さん」という青春アニメを見た。

 原作は同名の人気漫画と聞く。瀬戸内海に浮かぶ島を舞台に、中学3年の男女のひと夏を描いている。

 客席を見渡せば、若い世代ばかり。中高年は自分ひとりかもしれない。

 ちょっぴり気まずかったが、作品を大いに楽しんだ。中学最後の夏なのだから、思い出をつくろう。

 劇中で、仲良し3人組が、やりたいことのリストを作り、実行する場面があった。

 やがて、それぞれが別の道を歩む。そんな切なさゆえの行動だろう。

 多くの小中学校が、今週から夏休みに入る。今年はコロナの行動制限がない。

 少しでも良い思い出を、と願うのが親心か。でも、夏という季節は年を重ねるにつれ、色あせていく。

 とにかく酷暑が体にこたえる。どこも混雑し、交通費も宿泊代も高い。

 計画を立てること自体がおっくうだ。涼しい映画館や美術館で十分だ。

 となったら、あまりに寂しい。誰もが「中学最後の」「10代最後の」夏を通り過ぎてきた。

 考えてみれば、くたびれた大人だって、その年齢の夏は、これが最後だ。

 二度と戻らぬ貴重な時間であることに変わりない。

 今、やりたいこと、やるべきことのリストでも作って行動してみようか。

 ビールばっかり飲んでいないで。』


平易な文章で、とりとめのないようなコラムのように思うけど、読者に考えさせる不思議な力があります。