しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「生きていくための知恵」を学ぶ

『哲学と宗教全史』(出口治明著:ダイアモンド社)を読了しました。

結論から先に言うと、実に素晴らしい本でした。座右の書がまた一冊増えたように思います。

この日記に書き残しておきたいと思うのは、本書の「おわりに」における、著者の次のような記述でした。


『‥結局、現在の人間社会は構造主義や自然科学、そして脳科学が到達した人間存在についての真実よりも、

 昔から主流であった本質主義的な概念、平たく言えば日常的な概念を上手に利用して

 虚構に立脚したうえで社会の秩序を保っています。それは人間の知恵なのだと思います。

 哲学も宗教も、人間が生きていくための知恵を探し出すことから出発したといえなくもありません。

 生きていくための知恵とは、不幸といかに向き合っていくかの知恵ともいえます。

 不幸と呼ぶべきか、宿命というべきか、人間は常に病気や老化や死と向き合っています。

 これらの避けられぬものと、いかに向き合って生きていくか。

 このことが数千年の歴史を通じて、いつも人間の眼前にありました。‥』


『‥振り返ってみると、神の存在を考え出した人間が、やがて神に支配されるようになり、

 次に神の手からもう一度人間の自由を取り戻したところ、

 その次には自らが進歩させた科学に左右される時代を迎えています。

 それでもこの時代に、人間が招き入れた科学的で冷厳な運命を受け止め、

 それを受け入れてなおかつ「積極的にがんばるぞ」と考える人たちが少なからず存在しているのです。

 そのような意志や意欲のある人間の存在が、

 巨人の肩の上に21世紀の新しい時代を見通せる哲学や思想を生み出してくれるのかもしれません。

 僕たちは今、次代の哲学や宗教の地平線の前に立っているのかな、と考えています。‥』


はぃ、やはり私も、ニーチェの哲学と著者が憧れるストア派の哲学に共通している

「自らの運命を受け入れ、そのうえで積極的に力強く生きるという姿勢」を持てるような人生、

できればそのような人生を、あとどれくらい生きられるのか分かりませんが、歩んでいきたいと願っています。