しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

至れり尽くせりの入門書

モンテーニュ入門講義』(山上浩嗣著:ちくま学芸文庫)を読了しました。


モンテーニュに関しては、岩波新書モンテーニュ 人生を旅するための7章』を

以前に読んだことがありましたが、入門書としては、本書の方が格段に分かりやすかったと思います。


本書の中でも特に印象に残ったのは、第一章冒頭部分の次の記述です。

モンテーニュの至った境地は、「今日は何もしなかった」と語る人、

 今日一日を生きのびただけという人を全肯定することです。

 彼は、偉大な事績や他者からの尊敬を望むような生き方を捨て、この世に生を与えてくれた自然に感謝し、

 心身の双方で感じられる日常のささやかな喜びを享受することを最上の幸福とみなすのです。』


そして、有難いことに、本書の「あとがき」で著者は、「エセー」から引用したいくつかの名言を、

次のように再掲してくれているのです。

・無知と無頓着とは、よくできた頭を休めるのに、なんと甘美で、柔らかで、健康な枕だろう。

・なんだと!あなたは生きたではないか。

 生きることこそが、最も根本的であるばかりか、最も輝かしい活動なのだ。

・誰でも長期にわたって不幸なのは、自分のせいである。

・実際のところ、われわれが備えているのは、死の準備に対してである。

・私は、守銭奴が財産を楽しむようにして、本を読む。本は好きなときに楽しめることを知っているからだ。

・私の理性は、身をかがめるようにはできていない。それは私の膝である。

・顔に白粉(おしろい)を塗れば十分であって、心にまで塗ってはならない。

・私は、自分を裁くためにの自前の法律と裁判所をもっていて、ほかのどこよりも頼りにしている。

・恋愛は愚か者にのみ有害である。


はぃ、モンテーニュの「エセー」はまさに、よりよく生きるための「知恵の宝庫」だと思います。

そして本書は、その「至れり尽くせりの入門書」でした‥‥。