しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

言葉を力づけるプロの仕事

今日は終日、雨となりました‥。


さて、このところNHKでは、見ごたえのある番組の放映が続いています。

昨日放映されたプロフェッショナル仕事の流儀「縁の下の幸福論~校正者・大西寿男~」もその一つでした。


番組HPでは、大西さんの仕事ぶりについて、次のように簡潔に紹介しています。

『書籍や雑誌など、出版物に記された言葉を一言一句チェックし、改善策を提案する校正者。

 出版業界に欠かすことができない職人の世界で、並みいる作家や編集者から絶大な信頼を受けるのが、

 大西寿男(60)だ。大西にとって、誤字脱字の指摘は仕事のごく一部。

 物語に出てくる人物、舞台の地形、天候、推理小説のトリック、

 あらゆる言葉に矛盾がないかを調べつくし、作者が紡ぎだした「言葉の力」を引き出していく。

 その仕事ぶりは、芥川賞を受賞したベストセラー小説「推し、燃ゆ」の作者、

 宇佐見りんに「まるで探偵のよう」と言わしめるほど。

 丸めがねに柔らかな雰囲気をまとう大西は、ひとたびゲラと向き合うと瞬きも忘れ、

 すさまじい集中力で言葉の海に潜り込む。‥‥』


番組のなかで大西さんは、「大切にしている思い」だとして、

『なんというか、いい悪いじゃないんですよね。

 作者が、書き手が本当に紡ぎたかった言葉はこれなのか。そこしかないので。

 校正者の仕事は「言葉を力づける」みたいなことになるんですけど。

 書いた人が「自分は本当はこういうふうに言いたかったんだ」みたいなことを、

 最終的に納得できるところまでサポートするっていう‥‥』とおっしゃっていましたし、

また、「プロフェッショナルとは?」との問いかけに対しては、

『与えられた受け身ではなく、自分で選び取った受け身であるからこそ役に立てることがある、

 と信じて、いつもそのことを忘れないでいる』とおっしゃっていました。


画面に映る、誠実で温和な大西さんに、真のプロフェッショナルの姿を見たように思います‥‥。