しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

すべての歴史は現代史

放送大学で「アメリカ史」を学習する際の参考図書として、

『砂糖の世界史』(川北稔著:岩波ジュニア新書)を読了しました。


著者は本書の「エピローグ」で、モノを通じて歴史をみることで、どんなことがわかるのか、

大事なことが二つあると述べられています。


その一つは、モノを通じて歴史をみることで、各地の人びとの生活の具大的な姿がわかること。

具体的な生活の局面がわからなければ、その時代、その地域の人びとと共感しあうことはできない。

歴史を勉強する大きな目的の一つは、そうした共感を得ることである。


もう一つは、世界的なつながりがひと目でわかること。

砂糖のような「世界商品」の場合は、まさしく世界に通用した商品なので、

その生産から消費までの過程を追うことで、世界各地のつながりが見える。

砂糖の歴史は、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカの三つの大陸を同時に見なければわからない。


さらに著者は、歴史学というのは、単に昔のことを調べる学問ではないこと、

いまある世界がなぜこのようになっているのか、ここにくるまでにはどのような歴史的変遷があって、

いまこうなっているのか、そういうことを研究するのが歴史学なのだ、と述べられていました。


「すべての歴史は現代史である」‥。

ジュニア新書といいつつも、その内容はレベルが高く、価値ある一冊でした。

岩波ジュニア新書シリーズは、私のようなシニアでも学べる「良書の宝庫」だと思います‥‥。