『砂糖の世界史』(川北稔著:岩波ジュニア新書)を読了しました。
著者は本書の「エピローグ」で、モノを通じて歴史をみることで、どんなことがわかるのか、
大事なことが二つあると述べられています。
その一つは、モノを通じて歴史をみることで、各地の人びとの生活の具大的な姿がわかること。
具体的な生活の局面がわからなければ、その時代、その地域の人びとと共感しあうことはできない。
歴史を勉強する大きな目的の一つは、そうした共感を得ることである。
もう一つは、世界的なつながりがひと目でわかること。
砂糖のような「世界商品」の場合は、まさしく世界に通用した商品なので、
その生産から消費までの過程を追うことで、世界各地のつながりが見える。
砂糖の歴史は、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカの三つの大陸を同時に見なければわからない。
さらに著者は、歴史学というのは、単に昔のことを調べる学問ではないこと、
いまある世界がなぜこのようになっているのか、ここにくるまでにはどのような歴史的変遷があって、
いまこうなっているのか、そういうことを研究するのが歴史学なのだ、と述べられていました。
「すべての歴史は現代史である」‥。
ジュニア新書といいつつも、その内容はレベルが高く、価値ある一冊でした。
岩波ジュニア新書シリーズは、私のようなシニアでも学べる「良書の宝庫」だと思います‥‥。