しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

破壊的な相互陶酔の関係

今日の日経新聞オピニオン欄「DeeP Insight」に掲載された

「世界乱す米大統領の自己愛~歯止めなき「人格リスク」」という記事がとても興味深かったです‥。

特に印象に残った記述を、次のとおり抜き出してみました。


『1789年、初代米大統領ワシントンが就任演説をしたのは当時首都だったニューヨークのウォール街

 人格者で知られる彼が短い演説で強調したのは道徳の大切さだ。

 米政策の基盤は道徳だと述べ「正直さや寛大さと国民の繁栄・幸福は分かち難い」と訴えた。

 20日、再就任するトランプ大統領との落差はあまりに大きい。』


『「悪性の自己愛ゆえ指導者には不適格」。

 著名な精神科医など200人強は昨秋、そんな公開書簡を連名で米紙に公開した。

 それでも同氏の人格が再選を妨げなかったのは、既存の政治への不信が一因だろう。

 きれい事ばかりで生活苦を解消できない指導者への疑念が高じ、

 むしろ良識や道徳にあらがう人物が信頼を得る皮肉な現象が広がった。』


『「カギと鍵穴」。トランプ氏と支持者をかつてそう呼んだのは、

 長く米中央情報局(CIA)で世界の指導者の心理分析を指揮したJ・ポスト氏だ。

 自己肯定感を欠く支持者とトランプ氏が互いを補う心理を指摘し、

 それは自己愛の強い同氏を独善的で危険な行動に走らせる「破壊的な相互陶酔」の関係だとも論じた。』


う~む、なるほど‥。

トランプ氏とその支持者は、「カギと鍵穴」「破壊的な相互陶酔の関係」ですか‥。

かつてどこかで「怠惰な精神の相互依存体制」という言葉を聞いたことがありますが、

これに匹敵するような上手な表現だと思いました‥。


記事には、「オハイオ州立大の研究では、自己愛が平均より強い大統領は単独で戦争を始める傾向が強く、

戦争日数もそうでない大統領の4.5倍だった。英雄視されたいあまり合理性のない戦争を

勝利宣言できるまで続けるためだという。」という記述もありました。

こればかりはご勘弁を‥‥。

「大寒の日」の雑感

今日は一年で一番寒さの厳しい頃とされている二十四節気の「大寒」なのに、

晴れて暖かい一日となりました。天気予報では、日中11~13℃の気温がしばらく続くようです‥。


さて、放送大学の単位認定試験(web試験)の提出期限が近づいてきたので、

町立図書館に行って、、通信指導(提出型問題)と自習型問題の「解答・解説」を復習してきました。

毎回のことなのですが、単位認定試験(web試験)をどの日、どの時間帯で受験するか、

いつも悩んでしまいます。悩んでも成績は変わらないと思うのだけれど‥‥。


ちなみに、今回の受験科目は「アメリカ史:世界史の中で考える」です。

アメリカ大統領の就任式が20日、日本時間の21日未明、首都ワシントンの連邦議会議事堂で行われ、

共和党ドナルド・トランプ氏が4年ぶりに大統領に就任することを考えたら、

「時宜を得た科目選択だったなぁ~」と、根拠の無い自己満足に浸っています‥‥。

「現代アメリカの思想潮流」を学ぶ

町立図書館で借りてきた『それでもなぜ、トランプは支持されるのか~アメリ地殻変動の思想史』

(会田弘継著:東洋経済新報社)を読了しました。


本書のタイトルにもなっている「それでもなぜ、トランプは支持されるのか」という「問い」に対し、

私が最も分かりやすいと感じた「答え」が、本書「あとがき」の次のような記述でした。

『‥‥中立的で信頼性の高いブルッキングス研究所によるこんな調査結果を見たときは、愕然とした。

 2016年大統領選挙でヒラリー・クリントンが勝利した全米の472郡が

 アメリカの国内総生産(GDP)に占めた割合は64%、

 それに対しトランプが勝った2584(桁が違う!)に及んだ郡は36%を占めただけだ。

 この傾向は2020年大統領選挙になるとさらに強まり、バイデン勝利の520郡はGDPの71%を占め、

 トランプが勝った2564郡は29%だった。

 バイデンに多くの票が入る地域がいかに繁栄して豊かな人びとが住み、

 トランプ支持者が多い地域がいかにさびれて停滞しているのかを如実に示している。

 アメリカ経済の繁栄から疎外され、ないがしろにされている人びとの怒り、

 豊かな人びとへの敵意がトランプという「媒体」を通じて、

 反乱どころか革命的に表出しているのは明らかである。』


なお、本書は学術誌や論壇誌などで著者が発表してきた現代アメリカ思想潮流についての

約20編の論考をまとめたものですが、特に印象に残ったのは、

第15章「ウクライナ侵攻の「思想地政学」」と

第16章「「保守主義の精神」出版70年とアメリカの分断」という二つの論考でした。


さらにその中でも、『バーク(近代保守主義の始祖である英国のエドマンド・バーク)思想の根幹でもあると思うが、

人は現世の共同体に生きているだけでなく、死者と未来の世代をつないだ時間の共同体の中でも生きている

という感覚は、保守思想の最も大切なところだ。』という記述が印象に残りました。


本書を通じて、保守思想家ラッセル・カークなど「アメリ地殻変動の思想史」を学ぶことができました。

町立図書館に返却するのが名残惜しい、そんな気持ちを抱いた一冊です‥‥。

光は闇のまたたき

雲がほとんどなく、よく晴れた一日となりました。

「エミフルMASAKI」の2階からは、

遠く久万高原町方面に見える山々が、雪に覆われているのが確認できます。



さて今日は、中規模改修工事が終わった町立図書館に行って、

1月6日(月)から1月10日(金)までの朝日新聞一面コラム「折々のことば」を、

まとめ読みしてきました。なお「折々のことば」は、毎週土曜・日曜は休載となりました。

なので、「天声人語」にも比重を移すことにします‥。


この期間で印象に残ったのは、1月9日(木)川田順造さんの

「光は、はてしない闇のなかに湧いて、ちぎれたり、合わさったり、消えたりする、

気泡のようなものでしかない」という「ことば」で、

いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。


サヴァンナでは陽(ひ)が落ちると、あたりの物が輪郭を失いはじめ、

 すべてが「なまあたたかい波動」に包まれる。そのとき闇は光の欠如ではなく、

 光が「闇のまたたき」だということがありありと感知されると、アフリカ滞在中の文化人類学者は記す。

 人の眠りや死も、つまるところ「個をこえた連続への復帰」なのだと。「曠野(こうや)から」より。』


う~む、「光が気泡」「光が闇のまたたき」って、どんな感覚なんだろう?

井上陽水さんには「瞬き」という名曲があるけど‥。

人の眠りや死も、つまるところ「個をこえた連続への復帰」という表現は、

言葉の雰囲気から、なんとなく分かるような気がします‥‥。

「阪神・淡路大震災から30年」の雑感

69年間を生きているなかで、忘れられない衝撃的なテレビ映像がいくつかあります。


その一つは、2011年3月11日の「東日本大震災」で、

巨大な津波が家屋や田畑を、一瞬のうちに無情にも飲み込んでしまう映像‥。

二つ目は、2001年9月11日の「米国同時多発テロ」で、

民間航空機がニューヨークの世界貿易センタービルに突入する瞬間の映像‥。

そして三つ目が、1995年1月17日の「阪神・淡路大震災」で、

燃え上がる火の手と横倒しになった阪神高速道路など壊滅的な神戸の街の映像‥。


その阪神・淡路大震災から今日1月17日で30年になります。

日経新聞一面コラム「春秋」と産経新聞社説「主張」には、

計ったように安水稔和さんの、次のような有名な詩が引用されていました。

「これはいつかあったこと。/これはいつかあること。/だからよく記憶すること。

/だから繰り返し記憶すること。/このさき/わたしたちが生きのびるために。」


昨日は、政府の地震調査委員会が、南海トラフ巨大地震が今後30年以内に起きる確率について、

これまでの「70%から80%」を「80%程度」に引き上げ、公表しました。

私が生きているうちにはこの巨大地震は起きないかもしれませんが、

娘や孫娘は、ほぼ間違いなく未曽有の災害に遭遇することになると思います。


安水さんの詩など先人の言葉を心に刻み、その日に備え、力強く生きのびてほしいと願っています‥‥。