今日19日の愛媛新聞「現論」欄に、文芸評論家の斉藤美奈子さんが、
昨年12月に成立した統合型リゾート施設(IR)整備推進法(「カジノ法」)に関して、
『地域振興 幻想に近い』というタイトルの論評を寄稿されていました。
斉藤さんは、カジノ法はギャンブル依存症の増加や治安の悪化などが
負の側面として指摘されているけれども、
地域振興という側面からは果たして有効なのかどうかについて、
次の3点を問題点として指摘されています。
第1に、五輪誘致と同じでカジノ誘致に立候補しただけで、
多額の税金が使われること。
第2に、IRはカジノだけを設置すればよいのではないこと。
用地確保やインフラ整備の費用もまた税金が使われる可能性がある。
第3に、もろもろのハードルを越えて
仮にカジノをみごとに誘致できたとしても、成功する保証はないこと。
にわかづくりのしょぼいカジノができたからといって、
それを目当てに観光客が大挙して訪れるかどうか。
う~む……、弱ったな……。
実は、私は、自分の主義・主張として、
このカジノ法が是なのか非なのか、判断しかねています。
誘致に成功すれば、地域にとっては
高い雇用と経済効果が期待できるようにも思うし、
その一方では、ご指摘のように、
ギャンブル依存症の増加や治安の悪化が心配でもあります。
そんなことを考えながら斉藤さんの論評を読み進めていると、
私の考えに重大な影響をもたらす記述が見つかりました。(少々大袈裟ですが…)
それは次のような記述でした。
『思い出すべきは1987年に鳴り物入りで成立した
リゾート法(総合保養地域整備法)だろう。
当初は地域振興策として期待されながら、バブルの崩壊もあいまって
思うったほどに人は来ず、廃業した敷設の多いこと。
IRがその二の舞になる可能性はきわめて高い。』
ふたたび、「う~む……。」です。
リゾート法のことを指摘されると、私には全く反論する材料がありません。
当時はバブル景気の真っ只中で、
地域振興策としてのリゾート開発に期待することが多く、
ほとんどの県が計画策定に取り組んだものです。
でも、バブル景気の崩壊とともに、
ほとんどの計画がいつの間にか立ち消えとなりました。
かつてのリゾート法の問題を指摘されると、
「この道はいつか来た道、あの雲もいつか見た雲」のような気がしてきました。