第一生命経済研究所が、
『公務員給与削減“終了”の影響 〜民間企業におけるベア以上のインパクトに』
と題するマクロ経済分析レポートを公表しています。
レポートの要旨は、次の2点です。
①国家公務員と地方公務員の給与削減措置が今年度をもって終了する。
終了に伴う給与の増加額は年間で0.8兆円程度とみられ、
これは名目雇用者報酬を+0.33%pt程度押し上げる効果をもつ。
②今回の給与削減措置の終了は、
民間企業におけるベア以上のインパクトをもつ可能性が高い。
今回の給与削減措置終了が増税後の個人消費の下支え要因となることが見込まれる。
国家公務員給与は、平成24年4月から平均7.8%減額され、
地方公務員給与についても、平成25年7月から、
政府からの要請という形で減額措置が行われてきました。
もちろん、私の所属する自治体においても同様です。
こうした措置も今年度限りとなり、
「ようやく長いトンネルを抜け出した」というのが今の正直な心境です。
それにしても、今回の給与削減措置の終了が、
民間企業におけるベア以上のインパクトを持つ可能性があるとは、
このレポートを読むまで認識できませんでした。
やはり、具体的な数字や根拠を示しているレポートには説得力があります。
そういえば、今月18日の日経新聞「経済教室」では、
宮川努・学習院大学教授が、
『賃上げ問題の論点㊦〜環境整備こそ政府の役割』という論考を寄稿されていました。
この論考で宮川教授は、次のように述べられています。
『人々の所得を持続的に上昇させていくためには、
短期的な民間企業への呼びかけだけでは不十分である。
法人減税や規制改革、労働市場改革を通じて生産性を向上させ、
賃金上昇につなげていきやすい経済環境を作り出すことこそが政府本来の役割である。』
ちょっと論考の趣旨とはニュアンスは違うかもしれませんが、
今回の給与削減措置の終了が消費税増税後の個人消費の下支えとなり、
ひいてはデフレ脱却につながることを期待したいと思います。
かくいう私も、少しは消費の下支えに貢献しなければなりません……。