先月、松山市で開催された「第20回俳句甲子園」の個人最優秀賞は、
岩田さん(開成高校)の『旅いつも 雲に抜かれて 大花野』という一句でした。
私は俳句を趣味にしているわけではなく、
また、季語などの基本的な知識さえ持ち合わせていないので、
自分の直感に頼った評価しかできないのですが、
この一句を超えるような壮大な句は、
しばらくは出てこないのではないかと思わせる、そんな魅力的な一句でした。
すると、昨日13日の愛媛新聞に、愛媛県出身の俳人である夏井いつきさんが、
「秀句と巡り合うシアワセ喜ぶ
~勝ったといって泣き、負けたといって泣く高校生の姿に涙する」
というタイトルのエッセイを寄稿されていて、
この一句と俳句甲子園の魅力について、次のように述べられていました。
『〈旅いつも雲に抜かれて大花野〉(開成高校 岩田奎)
「いつも」は普遍的な時空を表現する一語。
悠々と続く「旅」は豊かな「雲」を見上げる旅、
美しい「大花野」に心を遊ばせる旅だ。
閉会式の舞台、岩田くんへの最後のインタビューは
「あなたにとって俳句とは?」だった。
これまた実にベタな凡人的発想の質問だが、彼は一瞬とまどった後に
「旅、ですかね」と一言、爽やかに答えた。
「俳句甲子園の魅力」を一言で語る言葉を、私はまだ見つけられていない。
が、大会が終わってからも「旅いつも」の句が心にふっと浮かぶ。
口をついて出る。いい句に巡り合えたシアワセを喜ぶ。体中の血が奇麗になる。
それだけでいいのだよ、きっと、と思う。満ち足りる。
そんな喜びが俳句甲子園なのだ。』
う~む、なるほど……。
「体中の血が奇麗になる」というのは、ものすごく上手な表現ですね…。
私のような凡人の直感も、案外、的外れでないことが分かって、少し安心しました。
来年のこの大会でも、秀句が登場することを、今から楽しみにしています。