第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストのレポート
「なぜ、日銀の国債引受けがまずいのか〜財源として信用を失わないことが大事〜」
を読みました。
熊野首席エコノミストは、
これまでの「日銀の国債引受け批判論」には、
「悪魔的手法」とか「ハイパーインフレになる」、
「歴史的教訓として禁じ手」という情緒的表現が使われることが一般的だったが、
それらの反論は今ひとつぴんと来ないとして、
次の三段階論法で、「なぜ、日銀引受けがまずいのか」を、わかりやすく説明されています。
第一段階:日銀の国債引受けによって、誰も税金を払おうとしなくなる。
第二段階:租税によって裏付けられない通貨は、信用を失う。
第三段階:信用を失った通貨は、国民から捨てられて、円を暴落させる。
そして、熊野首席エコノミストは、次のように述べられています。
『この論法を端折って、「日銀の国債引受けは円安を起こす」と言い換えると、
ことの重大さが伝わらない。
詭弁を弄する人からは、「円安誘導になれば願ったり叶ったり」と揚げ足を取られる。
深刻なのは、信用の喪失にしろ、円安にしろ、
経済政策ではコントロールが効かなくなるところである。
政策論を語るときに、インフレや円安を、
あたかも温度調節でもできるかのように表現することがある。
日銀のリフレ政策を薦める人も、
インフレ率を中央銀行はコントロールできるはずだと言う。
しかし、日銀の国債引受けによって生じる財政規律の喪失や、円の信認低下を
日銀がコントロールできるのであろうか。』
なるほど。よく分かりました。
では、日銀の国債引受けができないならば、
消費税増税を即座に行うべきという極論ついては、
熊野首席エコノミストは、
『原則として、景気情勢を改善させながら、
同時に消費税を増税する環境を整備していくことが肝要だ。』
として明確に否定されています。
要は、世の中には楽な近道はなくて、「王道を地道に歩け」ということなのですね‥‥。