「規制改革は、実は法制度の改革の問題である。」
今月18日の日経新聞「経済教室」は、
柳川範之・東大教授の「法整備もマクロ経済政策」でした。
柳川教授は、アベノミクスの第3の矢、
すなわち規制改革を柱とした成長戦略の実効性を上げるには、
マクロ経済政策としての法制度改革という視点
(環境変化に合わせ、いかに柔軟にルールづくりができるようにするかという視点)
に立つことが必要であるとして、冒頭の言葉を述べられています。
そして、次のように述べられたうえで、
これまでのマクロ経済学の議論の進展を踏まえると、
「新規参入を促進すること」が必要だと指摘されています。
『個別分野の規制や法改正の問題になると、
どうしても利害対立が議論の焦点になりがちだ。
その結果、マクロ経済全体のためにという観点からの主張は弱くなりがちである。
しかし、それでは適切な制度改革は難しい。
単に改革を声高に叫ぶだけでは不十分なことは今までの経験が証明している。
まず法改正によってどのような経済効果を得るのが目的かという
大きな方向性の柱が必要だ。』
経済の発展は技術革新や新機軸の投資によってもたらされ、
それを実現するのは、
新しい企業の参入や既存企業による異分野・新分野への参入であり、
こうした動きを促していくことこそが成長戦略である、
このような柳川教授の論理展開に、思わずうなづいてしまいます。
最近の医薬品ネット販売の着眼点についても、次の記述が考えるヒントになりました。
『もちろん、法律は経済活性化のためだけに存在するわけではない。
例えば安全性の確保という消費者の利益を守るための法律も存在する。
ただ、「参入促進か安全性確保か」「規制緩和をするかしないか」
といった二者択一の議論になっては意味がない。
それを避けるには、現状維持という選択肢を原則禁止し、
参入促進を実現させたうえで、
安全など必要な他の目的も守られるよう法改正をするというルールを
原則論として確立させることだ。』
『参入促進型社会を実現するために法制度を改革していくことが、
日本が実現すべきマクロ経済政策なのである。』
柳川教授の論旨は、極めて明快です。