昨日19日の日経新聞「エコノフォーカス」は、
『稼げる大卒 どう育てる』というタイトルでしたが、
記事の冒頭からとてもショッキングな内容となっていました。
『大学での勉強が若者の役に立っていない。
そんな問題意識が世の中にじわりと広がっている。
大学進学率は5割を超す一方、就職率は低迷している。
大卒者が就いた仕事を雇用形態で見ると、非正規の割合が2割に達する。
政府内では実践的な職業教育をする新しい学校制度をつくる動きが出てきた。
就職後に職場で役立つ技能や知識を学校でどこまで教えられるのか。課題も多い。』
さらに驚いたのは、
『なぜローカル経済から日本は甦るのか〜GとLの経済成長戦略』の著者、
冨山和彦さんが記事で主張されている、次のような内容でした。
『国際的に競争する「G(グローバル)型大学」と地域に根ざした「L(ローカル)型大学」。
経営共創基盤の冨山和彦最高経営責任者(CEO)は昨年10月、
文部科学省が開いた有識者会議に提出した資料でこんな大学の分類を提唱した。
その上で「ごく一部のトップ校以外はL型大学と位置づけ、職業訓練校にする議論も必要」
「(経営学者の)マイケル・ポーターでなく弥生会計ソフトの使い方を教えるべきだ」
と主張した。』
この主張の内容が気になって、さっそく文科省HPで該当資料を確認してみると、
確かに、冨山さんは、L型大学で学ぶべき内容(例)として、
例えば、文学・英文学部では、「シェイクスピア、文学概論」ではなく、
「観光業で必要となる英語、地元の歴史・文化の名所説明力」と書かれていました。
う〜ん、これはちょっとどうかな…?
「実践力」を身に付ける必要性は理解できるけれども、
やっぱり「大学」と名のつく以上、
「一般教養」、「リベラルアーツ」は必要ではないかと、私は思います。
そうした「基礎的素養」を学んだうえにこそ、「実践力」は身に着くものと理解しています。
私は、むしろ池上彰さんの次の言葉にシンパシーを覚えます。
「すぐに役に立つことは、世の中に出て、すぐに役に立たなくなる。
すぐには役に立たないことが、実は長い目で見ると、役に立つ。」