しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

言葉の積み重ね

先月30日の産経新聞「正論」は、
雪斎先生こと、櫻田淳・東洋学園大学教授の
『「安倍談話」に重き置き過ぎるな』でした。

この論評で雪斎先生は、
『戦後日本の歩みの「原点」にある大義を振り返る上で忘れてならないのは、
 終戦翌年元旦に昭和天皇によって渙発され、
 今では「人間宣言」と通称される
 「新日本建設ニ関スル詔書」の意義であろう。』と述べられています。

う〜ん…、のっけから私の知らない歴史的事実が書かれていました。
昭和天皇の「新日本建設ニ関スル詔書」というものがあったのですね。

雪斎先生によると、
「戦後」という一つの時代の始まりに際して、この詔書に掲げられたのは、
「旧来の陋習の除去」、「民意の暢達」、「平和主義の貫徹」、
「豊かな教養と文化の構築」そして「民生の向上」という「方針」であり、
それを通じて「人類愛の完成」に向かって貢献するという「理念」であった、
との解説でした。

そして、「安倍談話」の発出の機だけではなく、
「戦後70年」を含む折々に検証されるべきは、
結局のところは、こうした「方針」や「理念」がどの程度まで貫徹され、
実現されているかということでしかないのであろう、と述べられています。

なるほど……。
だから、雪斎先生は、「村山談話」の片言隻句にとらわれた議論は、
無意味なものとみるべきで、
戦後日本の「方針」や「理念」のありようを特に海外に説く機会は
「安倍談話」だけではないと考えられているのですね。

さらに、雪斎先生は、論評の最後を次のような文章で締めくくられています。
『「安倍談話」発出それ自体は、内外の注目を集めているとはいえ、
 それに過剰な重きを置くのは、
 対外政策全般に照らし合わせて賢明であるとはいえない。
 日本の対外「説得性」を担保するのは、
 政治家が折々に発する言葉の「積み重ね」に他ならない。』

今月には、アジア・アフリカ会議など主要な外交行事が予定されています。
雪斎先生の論評を読んで、
これら会議での安倍首相の発言に興味が湧いていました。