NHKテレビテキストの別冊
『100分de名著〜「日本人」とは何者か?』を読了しました。
とても難しい内容だったので、精読とまではいきませんでしたが、
なんとか一とおり読み通すことができました。
四人の著者の丁寧な解説もさることながら、
この本は、編集者の御苦労の跡が感じられました。
内容を理解するうえで、図表や写真などに随分助けられました。
さて、読み終わってみると、
松岡正剛さんの解説による『九鬼周三・「いき」の構造』に、
一番たくさんの付箋が貼られていました。
その箇所を、いくつか抜き出しておきます。
・『「いき」の内包的構造』では、いきなり「いき」の意識を構成するのは
「媚態」と「意気地」と「諦め」という三要素であるという独創的な見解が展開されます。
驚くべき三要素ですが、
しかも九鬼が「いき」を構成する最も重要な要素として挙げたのが
異性に対する「媚態」なのです。
・やや仏教的な色合いを持つ「諦め」の感覚を、
九鬼は「運命に対する知見に基づいて執着を離脱した無関心である」と定義しています。
・「諦め」というのは断絶です。いったん連続を断ち切ることです。
「私はあの人が好きだけれども、もう会わない」というふうに思い切ることです。
九鬼はこういうところにこそ日本人の「生き」かたの ひとつの理想的な姿が見える
と言っています。
この本を読んで、日本人を理解するの「キーワード」として、
「いき」、「モノ=物=霊」、「ウツホ」、「霊性」、「無分別智」
という言葉があることを知りました。
日本人のアイデンティティや文化の基層は、結構「奥が深い」のですね…。