しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

読書・文学

生活と人生の根本的な違い

夏を訪れを思わせるような暑さとなりました。何を着たらいいのか悩みます。そんなにたくさん衣服は持ち合わせてはいないけれど‥。 さて、『深い河』(遠藤周作著:講談社文庫)を読了しました。著者の小説を読むのは、ずいぶん昔に読んだ「沈黙」以来です。…

「来世的生命主義」を学ぶ

『悪と往生~親鸞を裏切る「歎異抄」』(山折哲雄著:中央文庫)を読了しました。 親鸞を裏切る「歎異抄」、という本のタイトルに惹かれて購読しました。本書のなかでは、「往生」と「還相(げんそう)」に関する記述が特に印象に残りました。「往生」という…

今日は「花の雨」

お昼ごろから雨が降り始めました。咲き誇る桜の花に降りかかる「花の雨」です‥。 さて、安倍公房の短編小説集『笑う月』(新潮文庫)を読了しました。本書も、日経新聞電子版「日経BOOKプラス」で、昨日とは違う名門進学校の国語の先生が、中2、中3の…

たゆたう心をしたためる

遅ればせながら、『錦繍(きんしゅう)』(宮本輝著:新潮文庫)を読了しました。 夫の不倫(無理心中事件)で離婚した元夫婦が、10年の歳月を経て、紅葉に染まる蔵王で偶然再会したことから物語は始まり、そこから二人の往復書簡が続いて行きます。主人公…

「自主」か「対米追従」か

遅まきながら、『戦後史の正体(1945-2012)』(孫崎享著:創元社)を読了しました。 本書は、戦後日本の外交史を、「自主」路線と「対米追従」路線という観点から分析したものです。著者は、「自主」と「対米追従」の差は、次の点にあると述べられています…

「絶望の数」か「希望の数」か

今日の日経新聞の3面下段に、伊集院静さんの新刊書の広告が掲載されていました。「風の中に立て~伊集院静のことば~大人の流儀名言集」というタイトルの本です。その広告には伊集院さんの、次のような心に染みる名言が紹介されていたので、この日記に書き…

「対話の精神」を学ぶ

春分の日が近づくにつれ、一日また一日と、日が長くなってきました‥。 さて、100分de名著『中江兆民~三酔人経綸問答』(平田オリザ著:NHK出版)を読了しました。テレビ番組は視聴しましたが、テキストは長らく積読状態でした。 テキストで印象に残…

親鸞の教えを小説で学習中

寒さは昨日よりも少し和らいだものの、今日も吹く風は冷たかったです‥。 さて、『親鸞(上・下)』(五木寛之著:講談社文庫)を読了しました。上・下の二冊ともに近所の古本店で購入したもので、激動篇の上・下(単行本)は、町立図書館で借りてきて、今、…

「養生訓」の教え

今日から三月です‥‥が、冷たい風が吹いて寒かったです。明日はさらに気温が下がるとか。まるで季節が逆回転しているようです‥。 さて、昨日の日経新聞「人生100年の羅針盤~晩節考」は、江戸時代の中期、福岡藩で儒学者として働いていた貝原益軒のことが…

世界は贈与でできている

今日は、二十四節気の「雨水」です。暦どおりに、降ったり止んだりの「雨の一日」となりました‥。 さて、『きみのお金は誰のため』(田内学著:東洋経済新報社)を読了しました。NHKラジオ「マイ!Biz・経済展望」で、斎藤幸平・東京大学大学院総合文…

「パレスチナとイスラエル」を学ぶ

『なるほどそうだったのか!!パレスチナとイスラエル』(高橋和夫著:幻冬舎)を読了しました。初版が2010年10月の本書は、内容的には少し古めかしいののですが、それでもパレスチナとイスラエルの関係に係る、基礎的な知識を習得するのには十分役に…

粛然とした自己意識

陽射しは届いたものの、吹く風が冷たい一日でした‥。 さて、古本店で安く手に入れた『昭和という国家』(司馬遼太郎著:NHK出版)を読了しました。本書には随所に、次のような「司馬史観」「司馬語録」がありました。 ・どうも日本は非常に秘密主義の国で…

私の愛蔵書

定期購読している岩波書店の雑誌「図書」2月号の「二月の新刊案内」に、「新入生・新社会人のための岩波文庫」として、次の5冊が紹介されていました。 ①「ラ・ロシュフコー箴言集」(二宮フサ訳)、「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎)、③「新訂 孫子…

高坂正堯と三島由紀夫

『高坂正堯と戦後日本』(五百旗頭真/中西寛 編)を読了しました。こちらも長く書棚に眠っていました‥。 本書の中では特に、中西寛先生の「権力政治のアンチノミー~高坂正堯の日本外交論」という論評が、さらにその中でも、高坂正堯と三島由紀夫との関連性…

「大国における富と力の相関」を学ぶ

「生活習慣病予防健診」の結果通知が手元に届くまでの約2週間、悶々とした日々を過ごしました。身近な人が、がんに罹患したりした深刻な話を聞くと、健康に自信のない私は、どんな内容の検査結果が届くのか、あれこれと心配してしまうのです。悩んでも自分…

待つこと、そして希望すること。

今日は、一年で最も昼が短いとされる二十四節気の「冬至」です。暖房がないと部屋の中は、まるで冷蔵庫に入っているような冷たさですが、この日を境として新しい四季の巡りが始まると思うと、少しは前向きな気持ちになります‥。 さて、今から約10年前の2…

早稲田、明治に完敗

ずっと前から読みたいと思いながら先送りしていた『モンテクリスト伯』(アレクサンドル・ デュマ作、山内義雄訳:岩波文庫)を、ようやく読み始めました。今は、全7巻中の4巻目に入ったところです。面白しろくて寝不足気味の日が続いています‥。 さて、関…

人生を俯瞰する視点

『悲しみの秘儀』(若松英輔著:文春文庫)を読了しました。言葉の一つひとつに重みがある、とても素晴らしい本でした。現役で働いている皆さんには、次の二つがお薦めの記述です。 『仕事は人生の一部である。現代は、この素朴な事実をもう一度思い出さなく…

こちらは大荒れの天気に

昨日の夜半から今日の午前中にかけて大荒れの天気になりました。とりわけ今朝は、強い風とともに霰(あられ)が降り、雷も鳴って、流れる黒い雲とともに低気圧が上空を通過していることを実感した次第です‥。 さて、『幻影の書』(ポール・オースター、柴田…

地始凍(ちはじめてこおる)

今日は、七十二候の「地始凍(ちはじめてこおる)」です。「大地が凍り始める頃」とされています‥。厚い雲が低く垂れこめた今日は、暦どおりに昨日と同じくらい寒かったので、どこにも出かける気にならず、手持ち無沙汰を解消するために、午前中に庭の草むし…

阪神ファンであることの醍醐味

「阪神日本一」を受けて、今日の愛媛新聞に、人類学者の植島啓司さんが、「「次こそ優勝」願い続け~当たり前でない幸福 醍醐味」というタイトルの随筆を寄稿されていました。そこには次のようなことが書かれていました。 『‥‥いずれにしても、時代は変わっ…

義兄の里帰り

私と同年齢の義兄が、父母と兄の墓参りを主たる目的として、久しぶりに帰省しました。帰省と言っても、今も現役で働き続けているアフリカからの里帰りです。三泊四日のうち我が家に一泊し、今朝、息子が住む大阪に向かって旅立ちました。義兄はその後、東京…

ようやく「願いの一歩」が叶う

先日の東京旅行では、現金(キャッシュ)を使うことがありませんでした。唯一使ったのは、松山空港のバイク駐車料金だけで、モノレールや地下鉄はもちろんのこと、外食、コンビニ、コインロッカー、お土産などはすべて、交通系ICカード「Suica」を使…

戦慄のディストピア小説

町立図書館で借りてきた『日没』(桐野夏生著:岩波書店)を読了しました。岩波書店の雑誌「図書」10月号で、松浦寿輝さんなど4名の方が、〝「日没」文庫化に寄せて〟という書評を寄稿されていて、その内容に感化されたからです。 本書はまさに「戦慄」の…

良書で学んだこと

随分と久しぶりに松前公園を散歩しました。全長600mを2周。僅かな距離だけれど、気分転換になりました‥。 さて、古書店で手に入れた『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ著:新潮社)を読了しました。本書には、次のよう…

悩むな、考えよ。

『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)の続編、『目的への抵抗』(國分功一郎著:新潮新書)を読了しました。前作には及ばないものの、こちらも分かりやすくて面白かったです。 第一部「哲学の役割~コロナ危機と民主主義」で國分先生は、哲学なる領域を勉強する…

覚悟を実践する

遅ればせながら、『日の名残り』(カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳:ハヤカワepi文庫)を読了しました。これは実に素晴らしい本でした。(翻訳も含めて)理想的な執事を追い求める主人公を中心に、英国の伝統や田園風景などを描いている物語でしたが、本書の…

「時代錯誤の罪」(?)を考える

『アベノミクスは何を殺したか~日本の知性13人との闘論』(原真人著:朝日新書)を読了しました。 本書のタイトルの意味について最も端的に記述した文章が、「おわりに」で次のように書かれていました。『20世紀に世界最速で経済大国に駆け上がった日本…

人はみな大河の一滴

遅まきながら、古本屋で手に入れた『大河の一滴』(五木寛之著:幻冬舎文庫)を読了しました。たくさんの印象に残る記述がありましたが、そのなかでも、次のような一連の考え方が心に沁みました。 『最近では、人間の値打ちというものは、生きているーー こ…

反省ばかりの一冊

福田恆存『私の幸福論』(福田恆存著:ちくま文庫)を読了しました。 本書前半の「自由について」「青春について」「教養について」などには、印象に残る記述がいくつもありましたが、後半の「性について」「恋愛について」「結婚について」など、男女関係に…