昨日の夜半から今日の午前中にかけて大荒れの天気になりました。
とりわけ今朝は、強い風とともに霰(あられ)が降り、雷も鳴って、
流れる黒い雲とともに低気圧が上空を通過していることを実感した次第です‥。
さて、『幻影の書』(ポール・オースター、柴田元幸著:新潮社)を読了しました。
本書の中で最も印象に残ったのは、主人公が翻訳するシャトーブリアンの著書「墓の彼方の回想」での、
皇帝ナポレオンがセントヘレナ島において回想する、次のような記述でした。
『‥‥歴史のこの時点にあって、すべては一日にして萎む。長生きするものは生きたまま死ぬ。
人生を通り抜けていくなかで、我々は三つか四つ、それぞれ違った自分の像を残していく。
我々はそれらを、過去の霧を通して、おのおのの年齢の異なる肖像画のように眺めるのだ。』
いゃあ~、それにしても本書は読みごたえのある良書でした。特に、最終章の9章は圧巻の内容でした。
購読のきっかけは、BSテレ東の番組「あの本、読みました?」で、
読書好きの俳優・鈴木保奈美さんが、この本が面白いと紹介されていたからです。
私は過去に、『ナショナル・ストーリー・プロジェクト①』を読んだことがありますが、
本書の方が断然面白かったです‥。また著者の本に挑戦しようと思っています‥‥。
追記
そうそう忘れていました。本書の最初に登場する、シャトーブリアンの次の言葉も印象に残りました。
『人は同じひとつの生を生きるのではない。
多くの、端から端まで置かれた生を生きるのであり、それこそが人間の悲惨なのだ。』