町立図書館で借りてきた『日没』(桐野夏生著:岩波書店)を読了しました。
岩波書店の雑誌「図書」10月号で、松浦寿輝さんなど4名の方が、
〝「日没」文庫化に寄せて〟という書評を寄稿されていて、その内容に感化されたからです。
本書はまさに「戦慄」の内容(国家権力が思想と表現に強圧的なコントロールを課すというもの)でした。
ディストピア小説については、これまで「1984年」や「侍女の物語」を読んできましたが、
日本人の小説家によって日本語で書かれた物語は、なぜか現実味を帯びていて、緊張感がありました。
希望のかけらもないラストシーンを読んで、脱力感と喪失感だけが残りましたが、
それゆえに、さきほどの書評でも皆さんが高く評価されているのだと思います‥‥。
追記
チンペイさんこと谷村新司さんが、今月8日に74歳で逝去されたとの報道に接しました。
「昴」や「今はもうだれも」などの名曲はもちろんのこと、
ラジオの深夜放送でのチンペイさんの軽妙な語り口を、昨日のことのように懐かしく思い出します。
私にとっての「昭和」が、またも遠く過ぎ去っていきます。ご冥福を心よりお祈りします‥‥。