日経新聞の「経済教室」では、
今日から、「復興から再生へ〜脱・成長論を疑う〜」の連載が始まりました。
第一回目は、伊藤元重東京大学教授の『「革新否定」では未来見えず』でした。
伊藤教授は、日本経済に閉塞感が漂う今、
もう成長は無理だという諦めと無理して成長しようとしても幸せにはなれない
という開き直りが混在しているが、
努力もせずに現状に甘んじようとすれば、状況はさらに厳しくなるとして、
「働く」ということを軸に、成長の意義を問われています。
伊藤教授の論評を私なりに整理すると、次のようになります。
・貧困化など困難があるからこそ経済を活性化することが重要だか、
単純な量的拡大としての成長ではなく、新しい経済のフロンティアを切り開き、
経済を質的に変えていく成長でなければならない。
・「働く」とい言葉には、「レイバー」、「ワーク」、「プレイ」という
3つの異なったタイプがある。
・産業革命がレイバー(肉体を使った労働)としての仕事を奪ったように、
技術革新やグローバル化が良質のワーク(工場や事務所での仕事)の仕事を奪っている。
・機械や情報システムに置き換わってしまうようなワークではなく、
人間にしかできない質の高いプレーヤーとしての仕事が
増えていくように努力することが大切であり、
需要と供給の両面からの取り組みが求められる。
・需要サイドからは新たな産業を創出する必要があり、
供給サイドの取り組みはさらに重要で、次世代の人材を育てない限り
プレーヤーは増えないし、プレーヤーが増えない限り日本の成長もない。
人的投資がプレーヤーを増やす鍵となる。
確かに、人材投資である教育や技能取得には時間がかかるかもしれませんが、
多くの若者がプレーヤーとして活躍することが経済の活性化につながると思いました。
さて、ご案内のとおり、
伊藤教授は、シンクタンク「NIRA(総合研究開発機構)」の理事長をされており、
同機構からは、様々な骨太の政策が提言されているところです。
貴重なレポートがUPされていますので、同機構のHPを訪問されることをお薦めします。