しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

短期は損気?

今月3日の日経新聞「経済教室」は、
小峰隆夫・法政大学教授の『アベノミクスの1年㊥〜短期的な景気対策に偏重』でした。

小峰教授は、一連の「広義のアベノミクス」には
次のような特徴があると述べられています。
なお、小峰教授は、この論考の中で、
異次元の金融緩和、機動的な財政運営、成長戦略から構成される3本の矢を「狭義」、
安倍政権が実行してきた経済政策全体を「広義」と定義されています。

第1は、視野が短期的なこと。
第2の矢で進められた公共投資の増額は本来、短期の効果しかなく、
5兆円の経済対策を決めたことも視野の短期性を示している。
黒田日銀の異次元金融緩和も、長期的な出口戦略の在り方についての議論はまだない。

第2は「国の意思が経済を先導する」という姿勢が強いこと。
例えば、安倍首相は経済団体に賃上げを要請したり、
企業が自主的に「3年の育児休業取得」や
「女性役員の登用」をするよう求めたりしている。

第3は、コスト先送り型だということ。
金融政策は出口で大きなコストを生じさせる可能性があるし、
公共投資の増額は財政赤字拡大を通じて将来世代のコストとなる。
財政再建のためには社会保障費の削減とさらなる増税の組み合わせが必須なのだが、
その方向性は全く示されていない。
国民負担の増加につながりそうな政策は先送りされているのだ。

う〜ん、なるほど。こういう見方があるのですね。
最後に小峰先生は、論考を次の文章で締めくくられています。

『先送りされた負担はいずれは負担しなければならないし、
 国家主導的な成長戦略はかえって不確実性が高いとも言える。
 今後、短期志向による成果が息切れしてきた時、
 アベノミクスの真価が問われることになるだろう。』

「景気が短期的に好転しても、決して有頂天になってはいけない。」という
小峰教授の「警告」と受け止めておきます。
「短期は損気」ということわざもあることですし…。(ちょっと意味が違いました。)