しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

切なさというもの

『「一人歩きを始める 今日は君の卒業式」。
 そんなふうに始まるさだまさしさんの歌がある。
 恋の終わりを描いた作品だとさださん自身が解説している。
 どうしようもない一つの区切りであり、
 悲しいような、弾むような響きがある。
 それが卒業に例えた理由だそうだ。』

これは、今日9日の日経新聞「春秋」の冒頭の文章です。
そう、そしてこの歌の題名は、「つゆのあとさき」…。
さださんの数多い名曲のなかでも、私のお気に入りの一つです。

さらに、この歌のなかでも、私が好きな歌詞は次の一節です。

♪めぐり逢う時は 花びらの中
 ほかの誰よりも きれいだったよ
 別れ行く時も 花びらの中
 君は最後まで やさしかった

 梅雨のあとさきの トパーズ色の風は
 遠ざかる 君のあとを かけぬける

幼稚園、小学校、中学校、高校、そして大学と
卒業式を経験してきましたが、
やはり一番印象に残っているのは高校の卒業式です。

この日を境にして、同級生とはお別れ……。
事実、この日以降現在まで、顔を一度も見ていない同級生もいます。

また、さらに「切なさ」が今も募るのは、
大好きだった彼女と、お別れの言葉が交わせなかったことです。

せめて、互いに大学受験の健闘を祈り、
お互いに県外に出て離れ離れになっても、
帰郷した時には必ず会う約束をしておくべきでした。

さださんは、
さだまさし 時のほとりで』(新潮文庫)という本の、
「つゆのあとさき」の解説で、正確には次のように述べられています。

『卒業という響きは、どうしようも無いひとつの区切りと、分岐点を示し、
 又、同時に、決定的な脱皮を求められる、
 悲しい様な、そして弾む様な不思議な音色です。』

私にとっての高校の卒業式は、「切なさ」と同義語です。