家を新築してから、今年の9月で早や11年になります。
当時は、これがベストだと信じて建てたのですが、
実際に住んでみると、いろいろと不便な点を発見したりして、
後悔することがあります。
その後悔していることの一つに、書斎を造らなかったことがあります。
経費的な制約から、書斎を持つという夢を断念せざるを得なかったのです。
その結果といえば、この10年間に買った本は、
今では、和室のテーブルの上に高く積み重なり、
本来は、来客をお通しするはずだった和室が、私の寝室兼書斎になっています。
妻からは、読み終わった本を早く処分するように督促されています。
それでも本を捨てずに頑張っているのは、
『知的生活の方法』(渡部昇一著:講談社現代新書)に書かれている
次のような考え方に救われているのかもしれません。
『収入が少ないなら少ないなりに、自分の周囲を、
身銭を切った本で徐々に取り囲むように心がけてゆくことは、
知的生活者への第一歩である。
そして時々、なんということなしにあちこちの本を引き抜いて、
パラパラと数頁読むのだ。
そういう瞬間に、その本の価値がピーンとわかる時がある。
そういう体験の積み重ねが続くと、一種の本能みたいなものが発達する。
現代のように本の多い時代に生きながらも、
読んでよかったと思う本に出会うことはめったにない。
そういうことがあれば、全く天の祝福である。』
天の祝福を受けるためには、お金(身銭)と忍耐が必要なのかもしれません。